月刊警察2009.9月号

■新興国研修
大手商社が新入社員をアジアやアフリカ、南米などの新興国や途上国へ派遣し研修を実施する制度。人口増などにより市場の拡大が見込める国々で活躍する人材を育てる。
三菱商事は今年度から「若手社員トレーニー制度」を本格的に行っており、入社10年目までの社員を50人前後、途上国を中心とした現地法人へ3〜6か月程度派遣。丸紅も今年度、新入社員を対象とした新しい外国語研修制度を開始した。ロシア語、スペイン語、ポルトガル語などを日本で1年間勉強し、ロシアや南米など新興国の語学学校へ1年留学した後、営業部門へ配属する。
新興国に関心をもつ人材を確保する動きも出ており、伊藤忠商事は大学3年生を対象とし、ブラジル、ロシア、インド、中国で働く社員たちを講師としたセミナーを開いている。

■ディグローバリゼーション
世界の経済が地球規模の取引を行うことを意味する「グローバリゼーション」の反対語。物や金が国境を越える動きが止まり、それぞれの国内でしか還流しない動きを指す。
これまでは先進国が途上国に投資して商品を作り、そこで製造された商品を他の先進国で販売することで、先進国は利益を、また途上国は雇用機会を得てきた。しかしリーマン・ショック以後、欧米の銀行が海外の資金を自国に引き上げ、投資を期待していたロシアや中国、中東などの国々が資金難に陥った。右肩上がりだった世界の貿易も17年ぶりにマイナスに転じている。

■熱電発電
温度差を利用して発電を行うシステム。金属は加熱すると内部の電子の動きが活発化するため、加熱した異なる金属をつなぐと、温度差で電子が一方に流れ電気が発生する。
昭和電線ホールディングスは、銅線の製造ラインにある加熱炉の外側に、特殊なコバルト酸化物を使用した装置を取り付け、炉の熱を電気に変換する取り組みを行っている。銅線加熱炉の外壁温度は約600℃あるが、装置を水で冷却すると接着面との間に約450℃の温度差が生じ、電気が発生する。
炉1基で約14kwの電気を生み出せる計算で、今後は鉄鋼炉など高熱を発する施設やゴミ焼却炉などへの応用が期待されている。

(本誌「MONTHLY KEY WORD」より抜粋)