月刊警察2010.3月号

■買参権
鮮魚を漁港や卸売市場から直接買い付ける権利。水揚げされた魚は通常,各地の卸売市場のセリを経て,卸売業者を通じ小売店や飲食店に流通する。しかし最近,客数減で経営難を強いられる外食産業各社が,買参権取得に乗り出してきた。
取得には市場開設者の承認が必要で,市場側の信頼を得るため交渉が長期に及び,社員を現地に派遣するなどの手間もかかるが,取得すればセリに直接参加し鮮度の高い魚を安く仕入れることが可能になる。
居酒屋チェーンの「チムニー」は,東京都中央卸売市場の買参権を取得。築地市場でのセリを通じた直接買付けで,仕入れコストを約1割削減,当日配送により鮮度の高い魚を安定供給できるようになったという。

■拡張現実
現実環境の情報に電子的な情報を付け加える技術の総称。英語の頭文字をとってAR(= Augmented Reality)とも表記される。例えば,特別な眼鏡をかけると,街中の景色に「おいしいレストランはここ」,「最寄り駅はこちら」などの情報が重なって見えるようなシステム。
東京のベンチャー企業,頓智・(トンチドット)株式会社は,カメラ付き携帯電話を利用したARソフト「セカイカメラ」を開発。実際の店舗に並ぶ商品に携帯電話を向けると,GPS(全地球測位システム)による位置情報や画像認識技術を通じサーバーに保存された情報が画面に呼び出されて,該当商品の価格や材質,ブランドの歴史などを見ることができる。
また,米国の自動車メーカーではショールーム内に導入,効果的なプレゼンテーション・プログラムを提供予定だという。

■エコフライト
日本航空や全日本空輸が実施している機内リサイクル,省資源化のキャンペーン。グラム単位の軽量化からガソリン燃料を節約し,二酸化炭素排出の削減を目指す。
航空機は,自動車よりは環境効率の良い乗り物といえるが,国際線ボーイング747-400型機が成田−ニューヨーク間で費やす燃料は,ドラム缶(200?)800本分に相当する。
日航では,客室乗務員が化粧品を小さなボトルに詰め替えて携行するほか,機内食用食器の持ち手を短くし,新聞などの部数も乗客数に合わせて調節している。
全日空では,乗客に対し搭乗前に排泄を済ませる呼び掛けを実施。乗客の2割がこれを実行した場合,一人当たり60gの二酸化炭素排出が抑えられ,1か月当たり4.7tの削減につながるという試算もある。

(本誌「MONTHLY KEY WORD」より抜粋)