月刊警察2010.9月号

■チャイルドレジスタンス
子どもが簡単に操作できないよう製品に危険回避の防止装置等を加える工夫。CRと略される。欧米では子どもの誤飲を防ぐため,薬の瓶の蓋等に簡単に開かない仕組みを加えることが義務付けられている。
日本では近年,ライターを使った子どもの火遊びが原因とみられる火災が相次いでいることから,経済産業省ではライターを消費生活用製品安全法の特定製品に指定。2011年夏から,基準を満たさない商品の販売を規制する方針を発表した。
対象となるのは,使い捨てライターと点火棒等。国内では年間6億個以上のライターが流通しているが,その9割以上が規制対象となる見込みだ。今後は,点火に際して,@強い力で押さないと点火しない,A横に押してから下に押すなどの二つの操作が必要―といった方法が検討されている。

■囲い屋
貧困ビジネスのひとつで,路上生活者に住居を提供する代わりに生活保護を申請させ,自治体から支給される生活保護費から家賃等を天引く悪徳業者のこと。路上生活者を言葉巧みに集めて簡易宿泊施設に収容する実態から,こう呼ばれる。
提供される住居は非常に狭く,トイレや風呂は共同といった環境にもかかわらず,家賃は多くが制度上限の4万2,000円に設定されている。生活保護の受給手続完了後に契約書にサインさせ,生活保護費の受取りに同行,その場で支給金から家賃,光熱費,食費等を徴収する。それらは,受給額のほぼ全額に当たるという。
大阪市では囲い屋を排除するため,生活保護を申請する路上生活者らの住居探し等を手伝う「居宅生活移行支援事業」を開始し,住居が見つかるまでの間,申請者を市の更生施設や救護施設に入居させている。

■記憶遺産
ユネスコが認定する「世界遺産」,「無形文化遺産」に次ぐ“第3の遺産”といわれるもので,後世に残すべきと判断された歴史上の人物の直筆,楽譜,写真,映画等を登録する制度。1992年に創設され,フランスの「人権宣言」,ドイツの「ベートーベン直筆の第九交響曲の楽譜」,ウズベキスタンの「現存する世界最古のコーラン」等,2010年3月現在で76か国の計193件が登録されている。
日本では,特定の遺産を推薦すると国宝や重要文化財等に優劣を付けることになりかねないとの意見から参加を見送っていたが,文化財の序列に縛られずに選出すれば問題ないと結論付け,登録を目指すこととなった。

(本誌「MONTHLY KEY WORD」より抜粋)