月刊警察2010.10月号

■国際認定山岳医
国際山岳連盟などが認定する山岳医学専門医の国際資格。1997年に制定され,スイスやドイツなど7か国が導入している。日本には登山医学の専門家団体として日本登山医学会があるが,国際基準に見合うべく8番目の導入国へ名乗りを上げた。
山岳地帯での疾病には急性登山病,高地肺水腫等の低酸素によって生じる障害,低体温症や凍傷等の寒冷による障害,紫外線や宇宙線による障害等がある。
国際認定山岳医の資格を取得するには111時間のカリキュラムを受講し,高所での医学や救命医療のほか,冬山登山や岩登りといった実技やサバイバル,レスキューの技術も必要となる。
今年5月から認定山岳医プログラムの一般教程が開始され,43人の医師が受講中。来年春には国内初の国際認定山岳医が誕生する予定だ。

■バイオミミクリー
自然界に生息する生物の機能を,人間が使用する機械や道具などに応用すること。日本語では「生物模倣」と訳される。例えば,マジックテープは,狩猟に伴った犬に植物のイガが付着した様子に着目し開発されたものである。
近年では先端商品の開発手法としても注目を集め,ミズノ(株)が北京オリンピック向けに開発した競泳用水着はカジキの表皮を参考にし,水を吸収しやすい高分子を生地に埋め込んで作られた。
また,ゼファー(株)の小型風力発電機は,コイが水流に逆らって泳ぐ際の尾ビレの動きからヒントを得て,尾翼を風の流れを妨げない可動式に設計し,従来の製品より発電量が2割増加したという。さらに,フクロウの翼を参考に,しま状の突起をプロペラ裏面に施して騒音を抑えることにも成功している。

■環境経済観測
環境配慮型自動車,太陽電池,省エネ家電といった環境産業製品を製造販売している企業に対し,アンケート調査で業況を尋ね,景気予測等の手立てとするもの。日本銀行が四半期ごとに調査する日銀短観の環境産業版ともいえる。業況が「良い」と答えた企業の割合から「悪い」と答えた企業の割合を引いて算出し,数値が高いほど景気状況が上向きになっていることを示す。
今年2月に行われた試行的調査の結果によると,環境産業全体の業況判断指数はプラスマイナス0だったが,業種別にみると環境配慮型自動車がプラス50,高効率給湯器がプラス39,省エネ家電がプラス20などであった。

(本誌「MONTHLY KEY WORD」より抜粋)