月刊警察2011.5月号
東日本大震災発生から,早1か月。東京在住の私は,幸いにも大きな被害はありませんでした。次第に日常へと返りつつある我が身に比べ,いまだ先の見通しさえ立たない被災地の皆様の悲しみと苦悩は,いかばかりかと拝察いたします。
次々と明らかになる惨状は,テレビでしか見ていません。それでも,夜,自分の布団に潜ったとき,この,当たり前の日常に感謝せずにはいられませんでした。帰る部屋,寝る布団があること,電気,ガス,水道が使えること,電車が動いていること。また,平和ぼけというのでしょうか,計画停電,節電,間引き運転,買占め等の動向に一喜一憂しながら,今までの日常がいかに贅沢であったかに気づき,日頃からの備えの意識や,物を大切にする心を取り戻せた気がしました。
地震発生当初,各国メディアが,非常時でも秩序正しく行動する日本人を称賛しました。これは,我が国古来の道徳心からくるものだと思いますが,それに加え,平時から,市民の安全・安心という日常を守るため,時には身の危険をも顧みずに邁進する身近な警察官の姿,諸活動に負うところも大きいのだと感じます。
このたびの震災で,何人もの警察官が殉職されました。心からご冥福をお祈りし,命を捨てて命を救ったその勇気,使命感,美徳を決して忘れないようにしたいと思います。今,「この日常」がある幸せに感謝しつつ。
(S)