月刊警察2011.11月号
爽やかな秋晴れに恵まれた連休,木曽駒ヶ岳に登りました。よく整備されたルートとはいえ中央アルプスの最高峰,3千メートル級の登山は初めての経験でした。
混雑する登山口の傍らには長テーブルが設置されており,そこで私は,初めて「登山届」というものの存在を知りました。それに記入し,防寒対策や装備品のチェック,また,気象状況なども含めた簡単なアドバイスを受けました。初心者の私は,このような届出があることに驚き,また,多少の煩わしさを感じたのが正直なところでした。
自然を満喫する感動に浸りながら無事に下山し,対になる「下山届」も提出。
この「登山届」は遭難の際の救助活動をスムースに行う役割を担う重要なものであり,自治体によっては条例で届出を義務付けているところもあること,その内容を家族に知らせることも重要であることなどを知り,今までは他人事のように感じていた遭難のニュースも,身近なこととして捉えることができそうです。
「届」といえば,「遺失届」や「被害届」が思い浮かびます。今回,無事に登山が終了し,多くの人の手によって山の安全が確保されている現実を体感することができたと同時に,こうした「届」が有効に機能することによって,社会の安全・安心のためのシステムが保たれているという日常にも思いを致し,感謝の気持ちを新たにしたのでした。
(S)