月刊警察 2013年 1月号 MONTHLY KEYWORDS
月刊警察

日本銀行法

略称を「日銀法」といい,日本銀行の中央銀行としての存在や役割を定めた法律。

昭和17年に制定された旧法は,戦時下の国家総動員的な色合いが濃かったが,バブル崩壊後の金融環境の変化や欧州通貨統合等に伴い,中央銀行の独立性が高まったことから,平成9年,現行法に全部改正された。日本経済や金融のグローバル化に対応し,物価と金融システムの安定を図ることを目的に,中央銀行の独立性と政策決定過程の透明化に重点が置かれた。

しかし,デフレ経済が長引き,日銀の在り方や景気対策を見直す意見が相次いだため,自民党は平成24年11月,衆議院選挙の政権公約として,2%のインフレ目標を設定。政府に日銀総裁の解任権をもたせる構想や,日銀が国から建設国債を買い取る「国債引受け」等,日銀法の改正を視野に入れた金融緩和構想を明らかにした。

これに対し,経済学者の間では賛否両論があり,「財政破綻のリスクを負う国債引受けは非常に危険」との声も上がっている。国が日銀の独立性を脅かす弊害としては,日銀が戦前に国債を引き受け,終戦後に戦時中の200倍というハイパーインフレに見舞われたケースがよく引き合いに出されている。


キンドル(Kindle)

米国のインターネット通信販売最大手であるAmazon.com製の電子書籍端末。画面にはバックライトでなく,紙のような質感のモノクロ電子ペーパーが使用され,携帯電話の高速通信回線等を通じて書籍や雑誌,新聞等のコンテンツを受信する。

米国では2007年の発売以来3G回線の普及とともに市場が急拡大。現在は音楽,映像もダウンロードできるタブレット型端末やスマートフォン向けのアプリ等に多様化している。2012年1〜3月期の売上げは紙製書籍のハードカバーを抜き,ペーパーバックに迫る勢いである。

一方,日本の電子書籍市場は,米国に比べ伸び悩んでいるのが実情だ。紙製書籍の収益低下を恐れる出版業界の囲い込みもあり,コンテンツ数が少ないことや割安感を欠く点等が要因とみられる。昨年夏に発売されたインド向けキンドルのコンテンツ約120万点に対し,11月発売の日本初出コンテンツ数は5万点程度。また,発売直前にはヤマダ電機等の家電量販店大手3社がキンドルの取扱いを見送るなど,インターネット通販への警戒感も浮彫りになった。

矢野経済研究所の調査によると,平成23年度の国内電子書籍市場規模は約723億円。キンドル参入により27年度には1,500億円規模にまで拡大するとの予測もある。