財政の崖

米国では，ブッシュ政権時代に行われた期間限定の大型減税の失効で増税となる上，歳出の削減を強制的に行う措置が実施されるに当たり，まるで崖から転落するような景気の急降下が懸念されている。米連邦準備制度理事会のバーナンキ議長は，この事態を「財政の崖」と表現した。

米国景気の減退は世界経済への影響も大きいため，民主・共和両党の議会における議論が国際社会の注目を集めたが，今年１月１日に，年収45万ドル以下の世帯については減税を延長し，歳出の強制削減も２か月延長する法案が土壇場で成立。

民主，共和両党は昨年から財政再建に向け話し合いを続けてきたが，国債発行の上限額引上げ等の問題は春以降に持ち越された。16兆ドルを超える発行枠は既に法律で定められた上限を超えており，今後，共和党が議会で引上げに応じなければ，米国債の利払いが停止するなどの危機的状況も起こり得るとして，引き続き動向が注視されている。

ネット選挙

インターネットを利用した選挙活動や投票を指す。2011年３月にエストニアが世界で初めて国政選挙の投票にインターネットを使用し話題を呼んだが，日本を含め多くの国では，「ネットを使った選挙活動」という意味合いが強い。米大統領選では，90年代から活用されており，メールや広告でのアピールや献金集め等が行われてきた。

日本では，公職選挙法第142条により，公示・告示後は葉書，ビラ等同法が定める文書図画の頒布が認められているが，選挙戦中に候補者がブログを更新するなどのネット使用は対象外として違法扱いとなる。一般の有権者も同様で，ブログ等で特定の候補者への支持を公に呼び掛ける行為は，同法に抵触する。

しかし，ソーシャルメディアの普及に伴い，候補者や有権者からはネットを介した選挙活動の解禁を求める声が強まっており，昨年12月の衆院選においても，ネット制限に対する不満が候補者から相次いだ。

新型栄養失調

血清アルブミンと呼ばれるタンパク質の不足が要因で引き起こされる現代型栄養失調の通称。血中に含まれるアルブミンは体組織の構成要素であり，血液浸透圧の維持や脂肪酸の運搬等の役割を担っている。極端な偏食やダイエット等によりタンパク質が十分に摂取されない状態が続くと，血清アルブミン濃度の低下，筋力や免疫力の衰えを招き，脳溢血や感染症等のリスクが高まるとされている。