月刊警察 2013年 4月号 MONTHLY KEYWORDS
月刊警察

選挙無効

憲法違反などを理由に選挙結果が無効になること。公職選挙法では,地方選挙の結果については選挙管理委員会への不服申立て及び訴訟,また,国政選挙の結果への異議は高等裁判所への訴訟を認めている。訴訟で異議申立てを認める判決が確定した場合,再選挙が実施される。

昨年12月の衆院選について,弁護士グループ2団体が,「一票の格差」が是正されないまま行われたとして,全国16か所の高等裁判所・支部に選挙無効を求め提訴。この3月には衆院東京1区の選挙無効を求めた訴訟において,東京高裁が,「投票価値の平等に反する」と,選挙を違憲とする初の判決を言い渡した。ただ,選挙無効の請求は棄却されている。一連の訴訟で判決が出そろった後は,年内にも最高裁が判断を統一する判決を確定する見通しだ。


火器管制レーダー

ミサイルなどの命中精度を上げるため,発射前に電波を照射し目標物の位置や距離,方角,進路などを正確に把握するレーダー。海上自衛隊の護衛艦に搭載されている機種の射程範囲は,水上の船で約20km,上空の目標で60km以上といわれる。レーダーを照射された場合,電波探知装置により攻撃目標に置かれたことが察知できるため,国際法上では反撃可能との解釈がなされている。

沖縄・尖閣諸島を巡って日中の緊張が続く中,日本政府は,今年1月に尖閣から100km超の東シナ海で海自の護衛艦が中国海軍のフリゲート艦からレーダー照射を数分間受けていたと公表。中国外務省の報道官は軍からの連絡がなかったことを認めたが,政府としての公式見解は明らかにされなかった。

レーダー照射の結果分析について,防衛省は慎重を期している上,現在の自衛隊の交戦規定では即座の反撃はせず,進路を変えるなどの対応が求められているという。国際基準との整合性のあり方を含め,防衛上の課題が浮き彫りになった。


連続核移植

核移植で作成されたクローンの細胞を使用して,再度,核移植を行うこと。クローニングを繰り返すと出産率が低下する「初期化異常」の現象が現れるため,これまでは数世代が限度とされていた。

しかし,理化学研究所がトリコスタチンAと呼ばれる薬剤で初期化異常が改善されることを発見。マウスによる実験では,26世代目,598個体の作成に成功した。細胞の遺伝子を無限に複製できれば,優良な家畜の生産や絶滅危惧種の保全に活用できるとして,期待されている。