月刊警察 2013年 9月号 MONTHLY KEYWORDS
月刊警察

一時亡命

自国で政治的な迫害等を受けた人物が,他国に一時的な亡命を求めること。通常の亡命に比べ申請手続が短期間で終了し,1年間の期限を更新することもできる。

ロシアでは,通常の亡命申請処理には半年ほどかかるが,一時亡命であれば約3か月で申請処理される。場合によっては,申請後数週間で処理が完了することもあるという。

今年7月12日には,アメリカ国家安全保障局の元職員エドワード・スノーデン氏が,アメリカ政府の機密情報を暴露したとして同国から訴追され,ロシアに一時亡命の申請を行った。ロシア政府は8月1日にスノーデン氏の一時亡命を認めている。


ストーカー規制法

「ストーカー行為等の規制等に関する法律」。ストーカー行為等を規制し,その被害者を支援するために2000年に成立,施行された。原則として被害者からの申出により適用される。

一方的な恋愛感情や怨恨等からつきまとうこと等を「つきまとい等」,同一の者に対し,つきまとい等を反復してすることを「ストーカー行為」と規定し,双方を禁じている。

該当行為が同法に抵触すると判断された場合,警察は加害者に警告,その後もつきまとい等やストーカー行為が続くおそれがある場合は禁止命令等を下す。これらに背くと処罰の対象となり懲役又は罰金が科される。

今年6月には同法が一部改正され,電子メールを送信する行為が「つきまとい等」に追加された。拒まれたにもかかわらず連続してメールを送信する行為も規制の対象となった。


キメラ

複数の異なる遺伝情報を保持する生物個体。2種以上の生物に由来する細胞が組み込まれた個体を指す。一般的な例では,接ぎ木を行った植物がこれに当たる。 動物の場合は,免疫反応(移植拒絶反応)が起こるため,接ぎ木のように単純に生体細胞を組み込んでキメラを作るのは困難だが,受精卵の段階で細胞を移植して混ぜ,胚のキメラを作成することは可能だという。

動物の胚にヒトの細胞を組み込んだキメラ細胞は「動物性集合胚」と呼ばれ,ヒトの細胞を有するため免疫反応が出にくい。東京大学医科学研究所の研究グループは,ブタの胚にヒトの多能性幹細胞を入れ,移植用の膵臓を作る研究を進めている。

再生医療の可能性が広がるとして期待される一方で,生命倫理の観点から問題視する声も多いため,内閣府の生命倫理専門調査会で規制緩和を巡る議論がなされている。