月刊警察 2013年 12月号 MONTHLY KEYWORDS
月刊警察

取り込み詐欺

代金後払いで商取引を行い,商品を受け取った後,代金を支払わないまま行方をくらます詐欺の手口。近年,巧妙化しており,インターネットを利用したケースが急増するなど,被害が拡大している。

多くは小規模な取引を数回行って販売者に信頼させ,大口の取引に至った段階で逃亡。仕入れた商品はディスカウント店や他のインターネットショップに転売し現金化されるとみられる。被害に遭った場合の訴訟費用と損害額が,ほぼ同額になるように計画され,被害者の泣き寝入りを予測したケースもあるという。

保存性が高い米,換金しやすい果物や,カニ,ウナギといった高級食材が狙われやすく,インターネット上だけで取引されるイラスト,漫画等の作品も被害に遭っている。


特定秘密保護法案

第185回臨時国会に提出された,「特定秘密の保護に関する法律案」。安全保障等の高度な機密情報を管理し,流出・漏えいを防ぐための法律案。防衛,外交,特定有害活動の防止及びテロの防止の4分野に関する機密のうち,特に秘匿の必要性がある情報を,行政機関の長が「特定秘密」に指定,これを漏えいした公務員らに最高で懲役10年を科す。

1980年代には,同法案と同じ趣旨の「スパイ防止法案」が提出されたが,成立に至らず廃案となった。しかし近年,尖閣諸島沖における中国漁船衝突事件等が契機となり,同法の成立に向けた動きが再燃した。


カジノ構想

第183回通常国会に提出された,「特定複合観光施設区域の整備の推進に関する法律案」等に基づき,日本国内でのカジノ運営を解禁・合法化する構想。カジノは賭博を行う施設であり刑法に抵触するため,運営地域や事業者等の諸条件を制限した上での解禁を想定したものである。

カジノを特定地域に設置した場合,観光客の増加や誘致した自治体の税収増加等,様々な経済効果が見込まれる。一方で,暴力団との結び付きや周辺の治安悪化等の懸念もある。

これまでのカジノ構想の例としては,1999年に石原慎太郎氏が都知事選に立候補した際,公約のひとつとして掲げていた「お台場カジノ構想」,2011年に大阪府が公表した統合型リゾート施設構築プランに盛り込まれていたカジノ誘致構想等がある。また,同年には,国会における超党派の議員連盟「国際観光産業振興議員連盟」(カジノ議連)が,東日本大震災の被災地にカジノを中心としたリゾート施設の設置を限定的に許可する構想を検討した。