月刊警察 2014年 3月号 MONTHLY KEYWORDS
月刊警察

闇求人サイト

犯罪等の違法行為に関する情報が掲載された,インターネット上のいわゆる「闇サイト」のうち,求人を目的としたサイトを指す。これまで実態は不明だったが,ネット上に体験者の口コミ等が公開されるようになり,少しずつ明らかになってきた。

募集される求人の大半は,日雇いや短期間のアルバイトであり,一般的な求人より高額な報酬が提示され,ハイリスクであれば数十万円の報酬をうたったものもある。

例えば,「使っていない口座を高額で買い取ります」などとインターネットの掲示板に掲載し,ネット上のみで取引を行う口座売買には,1口座に数万円の報酬が支払われるといわれている。売却口座は,振り込め詐欺やオークション詐欺に使用されるようだ。口座売買行為は,犯罪による収益の移転防止に関する法律第27条で禁止されており,1年以下の懲役若しくは100万円以下の罰金又はこれを併科される。

また,一例では,振り込め詐欺等で被害者が振り込んだ金を口座から引き出す“出し子”の募集に関し,「数分の仕事で数万円」としか書かれておらず,具体的な仕事内容やリスクが意図的に隠されていたものもある。

ほかに,“出会い系サイトのサクラ”,“パチンコの打ち子”等,手軽に見せかけて実際には詐欺罪や業務上横領罪,窃盗罪等に問われる違法行為に加担させるケースも多い。応募者自身が犯罪のターゲットにされる懸念もあるため,今後,より広く注意を呼び掛ける必要がある。


フラジャイル5

米連邦準備制度理事会(FRB)の量的緩和縮小に伴って打撃を受けやすい新興国通貨の総称。ブラジルレアル,インドルピー,インドネシアルピア,トルコリラ及び南アフリカランドの5通貨を指す。“脆弱な5通貨”の意で,米モルガン・スタンレーが名付けた。

いずれも,FRBが緩和縮小のタイムラインを示した昨年夏に通貨が暴落し,市場においては世界経済の混乱要因ともいわれた。今年に入り,ブラジル,インド,トルコの3か国が利上げを実施することとなり,残る2か国も利上げに追い込まれる可能性が高い。

この5か国は,ともに高いインフレ率や経常収支の赤字を抱え,成長資金を国外に頼る構造をもつ点で共通している。

ブラジル,インド,南アフリカは近年,新興国のうち今後最も経済成長が期待される代表国(BRICs)として脚光を浴びてきたが,先進国経済が回復を見せ始め,新興国の経済成長が緩慢になってきたことで,相対的優位性が薄れつつあるようだ。