月刊警察 2014年 4月号 MONTHLY KEYWORDS
月刊警察

シェールガス革命

シェールガスとは,地下2,000m付近の頁岩層(シェール層)から採取されるメタンが主成分の天然ガス。かつては,採掘コストが商業生産に見合わないとされていたが,水圧破砕法,水平坑井掘削技術,マイクロサイズミック等の技術革新により,2012年頃から北米大陸を中心に商業ベースでの採掘が実現した。

これにより世界のエネルギー事情が大きく変化したシェールガス革命は,国際石油資本ではなく,生産者である米国中小企業が生産手法を効率化するなかで実現したという経緯があり,以降は国際石油資本に米国回帰の動きがみられたほか,多くの海外資本が参入することとなった。

国際エネルギー機関(IEA)は,2025〜2030年にアメリカが世界最大のエネルギー生産国になると予測し,従来,天然ガスを主要な収入源としてきたロシアや中央アジア諸国の経済的影響力は低下するとも言われている。しかしながら,シェールガスには石油燃料より温室効果ガスの排出量が多いとの指摘もあり,水圧破砕法が地下水を汚染するのではという懸念もあるという。


受忍限度

受けた苦痛の程度が,賠償を請求してしかるべき程度か,又は,社会生活を営む上で我慢すべき程度か,その線引きのための水準。受忍限度は,主に精神的苦痛を理由とする訴訟において争点となり,騒音や振動,悪臭,日当たりといった環境に関する事例や,プライバシーの侵害,名誉毀損等においても顧慮される。

騒音被害を訴える裁判では,受忍限度が重要な判断要素となるため,環境省は,「騒音に係る環境基準」として,昼間と夜間それぞれの騒音の限度基準を策定している。


配偶子バンク

絶滅危惧種の保存や人工繁殖の研究を目的とし,動物の精子や卵子等の配偶子を液体窒素で凍結させ,半永久的に保存する施設を指す。

配偶子の冷凍保存は,ヒトや家畜等では研究されてきたが,野生動物に関しては知見が少なく,研究施設の充実が求められている。

昨年8月に京都大学や京都市動物園等の研究グループが,フリーズドライ技術を用いた配偶子バンクを設立すると発表。(公社)日本動物園水族館協会が神戸大学と提携し,この3月から横浜市繁殖センターで配偶子バンクの運営を開始した。

ドイツでは,2007年からライプニッツ動物園・野生動物研究所が「ネコ科配偶子レスキュープロジェクト」を推進しており,昨年2月には絶滅危惧種を含む複数のネコ科動物の卵巣皮質を凍結保存することに成功している。