月刊警察 2014年 10月号 MONTHLY KEYWORDS
月刊警察

環状交差点

複数の道路を接続した環状構造の交差点。「ラウンドアバウト」ともいう。信号機は設置されず,車両は環状道路内の車両を優先しながら自由に進入し,右回りに通行する。

従来の十字交差点に比べ,環状交差点では中心部を迂回する形で走行するため,必然的に徐行運転となる。進入の際,安全確認が必要な箇所も少なく,重大事故を防ぐ効果があるとされる。信号機を設けないため,通行車両の待機時間の短縮,信号機運用のコスト削減等,利点も多い。

欧米では環状交差点の導入が進んでおり,日本でも,今年9月に施行された改正道路交通法によって環状交差点での車両等の交通方法の特例が規定され,東京,大阪,宮城,愛知等,全国十数か所で運用が開始された。

海ゴミ

正しく回収されず海へ流出したゴミ。洋上に漂流している浮遊(漂流)ゴミ,海岸に打ち上げられた漂着ゴミ,海底に沈んだ海底ゴミ等と区分される。漁業に使用された漁具のほか,生活用品や,工業製品,不法投棄が疑われる廃棄物も多い。

海ゴミは景観を損ねるばかりでなく,海洋の生態系を脅かす原因ともなっており,海洋生物が誤って飲み込んだり,漁具に絡まって死亡したりするケースが多く報告されている。アジアで廃棄されたと推定されるコンピュータや工業製品等の海ゴミが大量に北極圏に漂着し,先住民族の生活に支障を来すなど,問題が拡大している地域もある。

また,海底ゴミの場合,低温で日光が届かない環境にあるため,微生物による分解が進まず長期間にわたって残るといわれる。これまでの調査では,水深6,200mの地点でマネキンの頭部が発見された例も。海ゴミは回収が困難なため,今後の影響や対策について懸念されている。

私的制裁

個人や集団が自らの価値判断に基づいて与える,法的根拠を伴わない懲らしめ行為。近年では,インターネットを通じ不特定多数が特定個人をつるし上げる行為が,私的制裁の様相を帯びることも多い。

刑罰は,国家が法律に基づいた判断の上で正当に科すことができるが,刑罰を加えるには,しかるべき手続が必要となる。私的制裁は法を無視した加害行為とみなされ,それ自体が法的処罰の対象となり得る。

今年8月に古書店「まんだらけ」が万引き犯に対し,盗品を返さなければ顔写真をインターネット上に公開すると宣言。警察の要請により公開は取りやめられたが,こうした行為が私的制裁だと指摘する見解もあり,物議を醸した。