月刊警察 2014年 12月号 MONTHLY KEYWORDS
月刊警察

危険ドラッグ

覚醒剤や大麻等の規制薬物と類似した化学物質を混入させた植物片等で,体内摂取により,これら規制薬物と同様の有害性が疑われる薬物の総称。以前は,合法ドラッグ,脱法ハーブ等,様々な呼称があったため,厚生労働省と警察庁が新たな名称案を公募し,本年7月に決定した。

危険ドラッグが違法とされていないのは,法整備が追いついていないためだが,たとえ違法成分が含まれていなくても,大麻の数倍から数百倍もの強い薬理作用をもつ成分が配合されているものもあるとされる。

近年,その使用者が犯罪や交通死亡事故を引き起こす事例が相次ぎ,大きな社会問題となっている。

ヘイトスピーチ

特定の人物や集団に対する敵意や憎悪を過激かつ直接的な表現で示す言動のこと。日本語では,「憎悪表現」,「差別的表現」等と訳される。

多くの場合,人種,国籍,社会的地位,宗教,同性愛者等に対する差別意識の表れとして生じ,排斥行動に結び付く。

暴言のほか,相手をおとしめて憎悪感情をあおるような表現全般がヘイトスピーチに該当し,インターネット上の書き込み,デモ活動や個人的パフォーマンス等も含まれる。

憎悪が高じて直接的な暴力行為に結び付くこともあり,ヘイトクライム(憎悪犯罪)の要因ともなる。

人権侵害に直結する行為だが,言論の自由を保障する民主国家においては,ヘイトスピーチを禁止することは容易ではない。ヘイトスピーチの規制をめぐり,10月末に大阪市の橋下徹市長と「在日特権を許さない市民の会」の桜井誠会長が行った意見交換会では,両者が激しい口論となって終了し,物議を醸した。

インド高速鉄道

インドの首都ニューデリーから西部の工業都市アーメダバード,最大の都市ムンバイを経由し,南部のチェンナイと東部のコルカタを経てニューデリーに戻る,大規模な高速鉄道ネットワークの構築計画。現在,各国の事業者が受注を争っている。

日本では,JR東日本を中心に,安全性の高さや正確な運行を実現する先端システムをもつ新幹線を,中国では,長距離運行の実績や,ローコスト,ノウハウの輸出を武器に,自国の高速鉄道を,それぞれ売り込んでいる。

東南アジアでは,インドネシアやシンガポール?マレーシア間でも高速鉄道が計画されており,また,アメリカやロシア等の先進国においてもプロジェクトが予定されるなど,今後,高速鉄道は巨大市場化するとみられており,受注獲得に向けた各国の動きがヒートアップしそうだ。