月刊警察 2015年 6月号 MONTHLY KEYWORDS
月刊警察

朝型勤務

従来の勤務時間よりも早く始業すること,あるいは,企業等の勤務体制をそのように変えていく取組を指す。この導入により,始業時刻が通常よりも1〜2時間早まり,終業時刻も前倒しされるため,夕方以降の時間を有効活用できるほか,仕事の効率化や残業抑制等の効果もあるとされる。

昨年5月から朝型勤務シフトを導入している伊藤忠商事鰍ナは,午前5時から9時までの早朝勤務に対し時間外手当と早朝割増金を支給,午後8時以降の残業は,原則として禁止した。

同社では,半年間の試行期間中に総合職の残業時間が一人当たり月平均4時間減少,本格導入後には消費電力量も約6%減ったという。

政府は今年4月,夏期から各省庁において朝型勤務を導入する方針を固め,7月頃には公務員の出退勤時刻が1〜2時間早まることが決定している。また,厚生労働省に「長時間労働削減推進本部」を設置し,民間企業にも朝型勤務の導入を促す。

残存者利益

競合他社の撤退によって,市場に留まり続けた残存者にもたらされる利益をいう。飽和状態にある市場や衰退しつつある事業分野等で発生しやすく,後者の場合には,最終的に残った企業の寡占や独占に至るケースも多い。

インスタントカメラ「チェキ」を販売する富士フイルム鰍ヘ,2008年に米国ポラロイド社が事業から撤退したことで,インスタントカメラの市場を事実上独占した。チェキ自体の販売戦略も功を奏し,2010年代にインスタントカメラの需要が再燃すると,競合不在のため残存者利益を享受することとなった。

シルクロード経済圏

中華人民共和国とヨーロッパを結ぶ輸送ルートのこと。習近平国家主席が提唱する経済圏構想「一帯一路」の「一帯」がこれに当たる。中国の西安市からカザフスタン,ウズベキスタン等の中央アジアを経由し,黒海を抜けてロシアのモスクワまで,また,モスクワからオランダ・ロッテルダムを経由してイタリア・ヴェニスに至るルートを指す。

シルクロード経済圏は,地域の経済活性化やインフラ整備を目的とし,最大の貿易相手国であるEU各国との物流チャネルが確立されるというメリットをもたらす。習主席は,この構想の実現のため,中国人民銀行が設立したシルクロード基金から約400億ドル,さらに,中国財政省が管轄するアジアインフラ投資銀行から約1,000億ドル(うち500億ドルは中国が拠出)の資金援助を行うとの考えを示している。