月刊警察 2016年 3月号 MONTHLY KEYWORDS
月刊警察

下水熱エネルギー

地中に埋設された管路を通る下水は年間を通じて温度が安定しており,外気温と比較すると冬は暖かく夏は冷たい。この温度差を利用し熱交換器(ヒートポンプ)を使って,冬期は下水熱を汲み上げ暖房や給湯に,夏期は反対に下水へ放熱し冷房などに活用することができる。

国土交通省の発表によると,国内で利用可能な下水熱エネルギーの量はおよそ7800Gcal/hと概算され,約1500万世帯分の冷暖房熱源に相当するという。これまで未利用だったエネルギーを有効活用し,省エネと温室効果ガス削減が期待できることから,近年注目を集めている。

昨年7月には改正下水道法が施行され,民間企業による下水道への熱交換器設置が可能となった。そこで下水処理施設だけでなく下水管から直接熱を取り出し,熱交換器に送り込む技術開発も進展。滋賀県では,積水化学工業鰍竓ヨ西電力鰍ニ共同で,大規模工場の蒸気ボイラーに使用する湯を下水熱利用で温めるなどの試みを進めている。

空港型免税店

市街地にありながら,国際空港内にある免税店と同様,買い物の際に消費税だけでなく関税や酒税,たばこ税が免除される販売店。訪日外国人や出国予定の日本人などを対象に,時計や宝飾品,化粧品,酒類,たばこ,電化製品,ブランド衣料品などを揃える。

国内では,これまで沖縄振興特別措置法が施行された沖縄県にのみ空港型免税店があったが,今年1月,東京に初出店。三越伊勢丹ホールディングス,日本空港ビルデングなどが三越銀座店内に「Japan Duty Free GINZA」をオープンさせた。

続いて3月末には,数寄屋橋交差点に開業する大型商業施設「東急プラザ銀座」に韓国のロッテグループが運営する空港型免税店が入り,4月には福岡市でも三越伊勢丹ホールディングスなどが開業を予定している。

利用にはパスポートと海外へ出国するための航空券が必要で,購入商品は羽田,成田両空港へ配送され,出国手続後の引渡しカウンターで受け取る仕組み。出国直前の慌ただしさがなく,手ぶらで買い物できるのがメリットといえる。

空港型免税店の開業ラッシュに伴い,消費税のみが免除される従来の免税店においても対象品目が拡大。これまでの家電製品や衣料品に,化粧品や食品などが加わり,出店も急増している。今後は訪日客の需要取り込みをめぐる競争が更に激化しそうだ。