月刊警察 2016年 5月号 MONTHLY KEYWORDS
月刊警察

外国人向け地図記号

日本を訪れる外国人の増加に伴い,国土地理院は外国人向けの地図に記載する地名などの英語表記ルールをまとめ,15施設の地図記号を決定した。

旅行者がよく利用する銀行/ATMやショッピングセンター,コンビニエンスストア,レストラン,トイレ,鉄道駅などの記号が新たに作成され,従来の地図記号を改良したものも加えられている。

交番を表す「X」は,警察官の上半身をイラスト化したデザインに,また,Hを丸で囲んだホテルを表す記号は,ベッドに人が眠る様子を描いたものに改良された。

昨年の訪日外国人旅行者数(推計値)は前年比47.1%増の約1,973万7,400人となり,3年連続で過去最多を更新。東京オリンピック・パラリンピック競技大会が開催される2020年には,訪日外国人が2,000万人を超えると予想されており,国内での円滑な移動を促す環境整備が急がれている。

お坊さん便

株式会社みんれびがインターネットで提供する僧侶手配サービス。「法事法要手配チケット」を購入し申し込むと,指定の日時・場所に手配された僧侶が出向き,読経などを行う。

浄土真宗や臨済宗,真言宗などの7宗派から選択可能で,料金は全国一律にあらかじめ設定されている。一般的に,一日葬では数十万円の費用がかかるとされるが,お坊さん便では四十九日法要,一周忌法要などが35,000円,葬儀での読経が55,000円,戒名授与が20,000円。心付けや車代などの追加料金もない。

同社では2013年から,寺院や僧侶との関係が薄い都市部在住者をターゲットにサービスを開始。昨年12月に大手インターネット通販サイトのアマゾンに出店したところ販売数が急増し,今年は1万2,000件の受注を見込んでいるという。

現在,同社には約450人の僧侶が登録しており,登録待ちの僧侶も100人を超える。背景には檀家離れや都市部への改葬,葬儀の簡素化などによる寺院収入の低下が挙げられるようだ。

しかし,全日本仏教会の齋藤明聖理事長は「布施はサービスの対価ではなく,戒名や法名も商品ではない。定額で分かりやすいという声がある一方,宗教をビジネス化した姿勢に疑問と失望を禁じ得ない」として,アマゾンに出品停止を要求。

サービスの対価として布施金額が明示されることで宗教と商業との境が曖昧になり,いずれは宗教法人に対する課税が変わる可能性も。時代の流れに沿う供養のあり方を考える一例として,今後も議論が続きそうだ。