月刊警察 2016年 6月号 MONTHLY KEYWORDS
月刊警察

インスタグラム商法

1年間で国内ユーザーが倍増し,およそ920万人が利用している写真共有SNSアプリケーション「Instagram(インスタグラム)」。全世界では月間実利用者数が4億人を超え,Twitterを大きくリードするまでに成長,1日に8,000万枚以上の写真が投稿されているという。

2010年のサービス開始当初はカメラアプリとしての印象が強かったが,2012年にFacebook社が買収して以来,情報発信・収集の場として20〜30代女性の間で人気が急拡大。芸能人やモデルなど数百万人のフォロワーを持つユーザーも目立ち,マーケティングに利用する企業アカウントも多くなった。

そこで問題化しているのが,企業による商品やサービスなどを,人気のあるインスタグラムユーザーに投稿させ宣伝に利用する手法だ。昨年5月,アメリカの老舗ファッション誌「ハーパーズバザー」が,100万人近いフォロワーを持つユーザーの実情に言及。投稿の影響力が高いため企業が殺到し,写真1点に5,000〜15,000ドルの値が付いていると指摘した。

また,米連邦取引委員会は,ある百貨店がモデルなどの人気ユーザー50人に衣料品を提供して投稿させ,高額の対価を支払っていたにもかかわらず,宣伝を明示しなかったとして同店を告発している。

手軽に自作の写真や動画を投稿しコミュニケーションを楽しむことからスタートしたSNSが,今や絶大な宣伝効果を持つビジネスの場に成り代わっている。

ハイカカオチョコレート

「甘いミルクチョコレートはNGだが,カカオ含有量が70%以上のハイカカオチョコレートなら,美容と健康に効果的」という謳い文句が近年飛び交うようになった。

理由はカカオの主成分テオブロミンに,血管や気管支を拡張し血流や代謝を高める働きや,利尿作用,脂肪分解作用などがあるため。また,カカオに多く含まれるポリフェノールが動脈硬化を予防し,肌の老化の原因となる活性酸素を取り除くともいわれている。

昨年12月には,株式会社明治と帝京大学が,カカオ由来の新しい機能性成分カカオプロテインの抽出に世界で初めて成功。カカオプロテインが腸内細菌を増加させ,継続的な摂取で便通が改善されたという。

しかし,ハイカカオチョコレートには普通のチョコレートの1.2〜1.5倍の脂質が含まれ,高カロリーな側面も。産地の土壌の状態によってはカドミウムやニッケルなどが少なからず含まれるケースもあり,過剰な摂取に警鐘を鳴らす声も聞かれる。