月刊警察 2016年 11月号 MONTHLY KEYWORDS
月刊警察

荷受代行アルバイト

国民生活センターによると,「送られてきた荷物を指定された宛先に転送するだけで報酬がもらえる荷受代行のアルバイトをするため身分証明書を送ったところ,知らぬ間に自分名義で携帯電話が契約されていた」という内容の相談が増えており,同センターでは消費者に注意を呼び掛けている。

典型的な手口としては,SNSなどで上記内容のアルバイトをあっせんし,応募者に「雇用手続に必要」と偽って個人情報と共に身分証明書の画像データを提出させる。その後,応募者の個人情報を使用し,格安スマホなどを提供する事業者のインターネット通販サイトで,携帯電話端末やSIMカードを契約するというものである。

応募者の元には契約された携帯電話機器などが送られてくるが,あらかじめ「開封せず着払いで転送するように」と指示されており,本人はそれと知らず指定された住所に転送。完了した時点で応募者の銀行口座に3〜5千円の報酬が振り込まれる仕組みだ。

転送された携帯電話は,振り込め詐欺などの犯罪行為などに使われる懸念もある。数千円の報酬を得るつもりが,結果的に契約解除のため数万円の違約金を支払う羽目になるばかりか,不正使用された携帯電話料金の請求をされたり,契約時に登録されたクレジットカードが不正利用されたりするケースもあるという。

超法規的措置

人命尊重や高度の公益の観点から,国家が定めた法律の規定範囲を超えて行政権が特別措置を講ずること。現在では,主にハイジャックや立てこもり事件などの犯人の要求に応じ,勾留者や受刑者を釈放する行為が,これに該当してきた。

しかし,今年6月末にフィリピン共和国第16代大統領に就任したロドリゴ・ドゥテルテ氏は,麻薬犯罪撲滅を標榜し,警察や自警団による超法規的取締りを強行。麻薬犯罪に関与する者を裁判にかけることなく現場で射殺することを容認し,就任以来3,000人以上の容疑者が死亡したとも報じられている。

これに対し,アムネスティ・インターナショナル(国際人権救援機構)は,人権蹂躙であるとして繰り返し警鐘を鳴らし,国連人権高等弁務官事務所も「超法規的な処刑から国民を守るための必要な措置を取ることを求める」という声明を発表した。

一方でドゥテルテ大統領の就任後,殺害を恐れ自首する犯罪者が激増し,フィリピン国内の刑務所では定員をはるかに超える受刑者が収容される事態に。超法規的措置の是非はともかく,成果を上げていることも確かではある。