月刊警察 2017年 7月号 MONTHLY KEYWORDS
月刊警察

高度プロフェッショナル制度

労働時間ではなく成果に応じて報酬を支払う特定高度専門業務・成果型労働制のことで,脱時間給制度とも呼ばれる。

今年5月,労働基準法の改正案が国会で審議され,年収1,075万円以上の高度専門業務に従事する労働者に対して,同制度の導入が検討されている。高度専門業務とは,研究開発,コンサルタント,金融業など高度な専門知識を要する業務を指し,こうした条件を満たす労働者が希望した場合,職務の範囲を明確にした上で適用される。

高度プロフェッショナル制度の導入により業務の効率化が進むと期待されるが,一方で,労働時間を超過して業務に従事しても残業手当・休日手当などが支給されない懸念も。そのため,皮肉を込めて“残業代ゼロ法案”などともいわれる。

労働基準法改正案では,「始業から24時間以内に継続した休憩時間を確保」,「健康管理のため労働時間に上限を設ける」,「4週間に最低4日,1年間で104日以上の休日を確保」などの健康維持策も同時に導入されることになりそうだ。

ネット炎上保険

インターネットにおけるウェブサイトやソーシャルメディアの公式アカウントを通じて発信した情報が,多くの一般ユーザーの反感を招き批判や非難の槍玉に挙げられる「炎上」の事例が,ここ数年で急増し,一昨年には1,000件を数えたといわれる。

そこで,今年3月に損害保険ジャパン日本興亜株式会社が,ネット炎上を扱う商品「ネット炎上対応費用保険」の販売を開始し,話題となった。標準的な契約の場合,1事故当たり1,000万円を限度に保険金を支払い,保険料は,業種や企業規模,SNSの利用状況によって異なるが,年間50〜100万円。

ネット炎上の代表的なパターンは,製品やサービスに対するクレームが拡散するケース。商品に異物が混入している写真がツイッターに投稿され,瞬く間に拡散したり,テレビCMの内容が女性蔑視やセクハラに当たるとして非難が集中し,打ち切りになったりするケースがこれに当たる。

損保ジャパンでは,過去のデータから,ネット炎上への対応で1か月当たり約300万円の費用がかかり,事態の収束までにおよそ3か月を要するとみなし保険金額を設定。初年度に100件,今後5年間で1,000件の契約を見込んでいる。

しかし,炎上被害におけるブランドイメージの損失や売上の減少については,数値として表れにくいため補償範囲に含まれないという。