月刊警察 2018年 2月号 MONTHLY KEYWORDS
月刊警察

電気飛行機

電気エネルギーを動力とする航空機の通称。機体の基本設計は従来と同様で,動力源を液体燃料から電池に,エンジンをモーターに置き換えた構造が想定されている。

従来型のように化石燃料を燃焼しない方式となるため,直接的には二酸化炭素を排出せず,騒音や振動も8割近く減少すると予想される。燃料の取扱いや動力関連のメンテナンスが格段に容易となり,燃料費や整備費が大幅に削減できることから,現行より低コストでの運航が見込める。

小型の機体ほど実現しやすいため,まずはタクシーのように利用できる小型機や,定員10人前後で都市間を移動するコミューター機としての実用化が期待されている。

昨年には,欧州の大手航空企業エアバス・グループとドイツの総合電機メーカーであるシーメンスが共同開発した電気飛行機のプロトタイプが,電気飛行機では世界最速となる時速337.50kmを記録した。

イギリスの格安航空会社イージージェットは,10年以内に電気飛行機を旅客機として実用化,運用する計画を発表しており,アメリカの航空企業ボーイング社とジェットブルー航空が出資する新興企業ズーナムエアロも,2030年までに完成させるとしている。

人生100年時代

健康寿命が延び,個人が100歳前後まで生きる時代を指す。ロンドン・ビジネススクールのリンダ・グラットン教授が,その著書『The 100-Year-Life(邦題:ライフ・シフト―100年時代の人生戦略)』の中で,今後の社会生活や労働形態のあり方を分析したことから,認知が広がった。

昨年秋には,政府が,人生100年時代を想定した政策考案の場として「人生100年時代構想推進室」を設立。不定期に「人生100年時代構想会議」を開催し,高度な教育の普及拡大,企業の人材採用の多様化,社会保障制度の世代を超えた対象拡大などを検討していく構えだ。議長は内閣総理大臣,議長代理は人づくり革命担当大臣が務め,構成員にはグラットン教授を始め各分野の有識者が招かれている。

グラットン教授が作成した資料によると,2007年生まれの日本人の寿命は107歳になるという推計も。「高齢化が進む今後は,多様な人生経験を重ねていくマルチステージに備える必要がある。より長く働き続ける社会では,退職した会社に戻ったり,50歳を超えて起業したりする人も出てくる。リスクがあってもチャレンジできる社会に変わらなければ経済成長は見込めない」と,同教授は話している。