平均文字

複数の手書き文字を基に平均的な線を抽出して作成された文字。

明治大学総合数理学部先端メディアサイエンス学科の研究チームは，「人は文字を書く際，理想とする文字を思い浮かべているが，実際に書くと手が思い通り動かずにぶれてしまう」という仮説に基づき，ぶれを最小化した平均的な文字を研究してきた。

10人に同じひらがなを書いてもらい，筆跡の特徴を平均化した「平均文字」を作成，比較したところ，ほぼ全員が平均文字を最もきれいだと感じたという。また，自分の字と活字を融合した平均文字で手紙を書く実験では，実際の筆跡のものより平均文字で書かれた手紙の好感度が高いという結果が出た。

研究チームでは，筆跡を数式に変換する新たな手法を考案し，自筆の文字を参考に，より整った手書き文字を機械が代筆する技術を開発。癖字を標準的な筆跡に近づけることで，個性を失わずにきれいな字に変換でき，作成費用は10万円から可能だという。

同大学の中村聡史准教授は，「学生の就職活動が有利になればと開発したが，署名の証拠能力が薄れるという問題も含んでおり，手書きとは何かを問い直す必要がある」と話している。

コインチェック

コインチェック株式会社（旧レジュプレス株式会社）が2014年８月に運営を開始したBitcoin（ビットコイン）など仮想通貨の取引所サービス。Bitcoinのほか「アルトコイン」と総称される仮想通貨の主要銘柄Litecoin（ライトコイン），Ethereum（イーサリアム），NEM（ネム）など十数種類を取り扱い，売買，信用取引，入出金，送金，決済，貸出しなどを行うことができる。

2016年からBitcoinを用いた決済システム「Coincheck Payment」を提供し，仮想通貨を現実世界に導入した。決済手数料１%，基本料金無料で，現在オンラインショップやブログ，実店舗など約4,200店舗が提携している。

認知度が増してきた昨年末からテレビCMも配信していたが，今年１月末に同社が外部からのサイバー攻撃を受け，アルトコインのNEMが外部口座へ不正送金されるという事件が発生した。流出額は，日本円換算で約580億円に上るといわれる。

同社は被害に遭ったNEM所有者に日本円で返金，補償すると発表したが，事態を重く見た金融庁が同社に業務改善命令を発令，資金決済法に基づき立入検査を行った。返金原資や方法など依然として不透明な部分も多く，今後の真相解明が待たれる。