月刊警察 2018年 8月号 MONTHLY KEYWORDS
月刊警察

リビア方式核放棄

経済制裁の緩和や解除,国交回復,経済支援などを条件に,核兵器や大量破壊兵器の放棄及び廃棄を促すことをいう。

かつて南アフリカ共和国が自ら保有する核兵器を全廃した際には,どの国からも見返りを受けることはなかった。しかし,2000年代半ばにカダフィ政権下のリビアで実行された核放棄は上記のような流れで行われたことから,前者は「南アフリカ式核放棄」,後者が「リビア式核放棄」と呼ばれる。

今年6月,シンガポールのセントーサ島で行われたアメリカのドナルド・トランプ大統領と北朝鮮の金正恩朝鮮労働党委員長との首脳会談に向け,北朝鮮の非核化をどのように進めるかが論点となった際,これらの表現が多く言及された。

ピンクパンダ

中国・湖南省出身者で構成される宝飾品の国際窃盗団の呼称。ヨーロッパ,アジアなどの宝飾品展示会に合わせて短期滞在し,裕福な爆買い客を装って来訪。品定めするふりをしてショーケースから宝飾品を出させ,偽物にすり替えて現品を持ち去るという手口が特徴だ。

ピンクパンダの名は,被害に遭ったフランスの警察が,かつて世界規模で宝飾品窃盗を展開した東欧系の窃盗団「ピンクパンサー」にちなんで命名した。

あらかじめ偽造品を製造して持ち込む周到さと,警察が窃盗を把握した頃には既に出国済みという逃げ足の速さとで,摘発が困難とされてきたが,同じ店舗や展示会を何度も訪れ犯行を繰り返していたことから,今年は日本国内で相次いで逮捕者が出た。

今年1月には,東京都江東区の東京ビッグサイトで行われた宝飾品の展示会で,1,500万円相当の宝飾品を盗んだとしてピンクパンダの男女7人が逮捕された。同展示会場では2年連続で被害が出ていたため,張り込んでいた捜査員が現行犯逮捕したという。また,5月に神戸市で開催された宝飾品展示会でも,ピンクパンダのメンバーとみられる30代の女2人がダイヤの指輪などを盗んだとして逮捕されている。

ブレードレス風力発電システム

スペインのベンチャー企業Vortex Bladeless S.L.が開発した,風の渦流を電気エネルギーに変換する発電装置。従来の風車の原理でなく,本体そのものが風を受け振動することでエネルギーを生み出すシステム。羽根を持たない構造で,全方向からの風を効率的に使える上,騒音や鳥の巻き込みなどがなく,省スペースに設置可能で発電効率も高いというメリットがある。