安全・安心を創出するための15の視点

安全・安心な地域社会を創り上げるための視点
―不安時代における安全・安心行政のあり方とは―
―不安時代における安全・安心行政のあり方とは―
| 牧瀬 稔・鈴木 潔 |
- A5判
- 288ページ
- 定価 2,310円
- ISBN978-4-8090-4053-5
本書の特長
- 地域における安全・安心の具体的事例を紹介。安全・安心に関する施策を立案し、実施するためのポイントを提示しています。
- 採り上げたいずれの事例にも、地域の安全・安心活動における「現場」の問題や、関係者の「生の声」が取り込まれています。
- 付録として、住民説明会や講演会などでも使える話のネタ集を掲載しています。
こんな方に
行政、警察、消防、学校をはじめ、自治会・町内会、事業者、NPOなど、地域の安全・安心に関わる全ての方々
執筆者紹介
執筆陣の情報は発行日現在の内容です。
編著者
- 牧瀬 稔(序章・第6章・第9章)
- 財団法人地域開発研究所研究部研究員
- 鈴木 潔(第8章・終章)
- 財団法人日本都市センター研究室研究員
著者
- 石附 弘(第1章)
- 財団法人国際交通安全学会専務理事、日本市民安全学会会長
- 山本 聖子(第2章)
- (株)蓑田総合研究所代表取締役、(株)アークエンジン研究員、財団法人地域開発研究所客員研究員
- 倉持 隆雄(第3章)
- 厚木市協働安全部セーフコミュニティ担当次長
- 仁階堂 拓哉(第4章)
- 歌舞伎町タウン・マネージメント事務局職員
- 江﨑 徹治(第5章)
- 警視庁生活安全部生活安全総務課 振り込め詐欺対策プロジェクト担当管理官、警視
- 金城 雄一(第7章)
- 財団法人地方自治研究機構調査研究部主任研究員
- 安田 道孝(第10章)
- 中野区まちづくり推進室 地域まちづくり担当主査
- 佐々木 一如(第11章)
- 明治大学危機管理研究センター研究員
- 荻野 穣(第12章)
- 相模原市企画財政局企画部政令指定都市推進課主任
- 鴨志田 康弘(第13章)
- 立正大学文学部非常勤講師、東洋大学社会学部非常勤講師
- 髙木 亨(第14章)
- 財団法人地域開発研究所客員研究員、立正大学非常勤講師
- 水 昭仁(第15章)
- 財団法人日本離島センター/全国離島振興協議会 調査研究部主任研究員
あとがき(抜粋)
本書は、地域の安全・安心活動に関する15の事例について、自治体・警察の実務家及び自治体行政に関わりの深いシンクタンクの研究者が分担して執筆したものである。本書で採り上げた事例は、安全・安心活動におけるコミュニティの役割に注目したもの、条例の活用を考察したもの、住民の目線に立つことの重要性を強調したものなど多岐にわたっている。
本書は、読者が安全・安心に関する施策を立案し、実施するためのヒントを提示するという目的上、「安全・安心を推進することは善いこと」を前提として執筆されている。確かに、地域の安全・安心を維持し、高めていくことの重要性を否定する意見はほとんどないと言ってよいであろう。
しかし、安全・安心を確保するための方法については、異論、反論を含めた様々な議論があることが普通である。例えば、そもそも自治体が防犯カメラを設置する必要があるかどうか、どのような手続きを経て設置するか、何台のカメラをどのような場所に設置するか、撮影したデータをどのように保管・利用・廃棄するかといった点には、費用対効果やプライバシーの観点から多くの意見が提出されるはずである。こうした論点について、一律の回答を示すことは難しい。地域によって事情が全く異なるからである。
そこで、地域の安全・安心の当事者が住民であることを再確認する必要がある。住民同士や議会で十分な議論を尽くして、その地域の実情に即した方法を決定することが極めて重要である。そうしたプロセスを経ないまま、観念的な議論や「上の意向」によって安全・安心活動を展開することは適切ではないと思われる。
本書が、だれもが安全で安心して暮らせる地域づくりの一助となれば幸いである。
編著者
目 次
- はじめに
- 目 次
- 序 章●安全で安心な地域社会の実現に向けて
-
- 第1/安全で安心な地域社会はすべての住民の共通の願い
- 第2/本書の構成
- 第3/何よりもまず「安全・安心」が必要
-
- 第1部 三位一体でコミュニティの再生に取り組む
- 第1章●市民安全学からの視点
〜「安全・安心問題の本質」と「『泥棒の7つ道具』対『市民安全の7つ道具』」〜- 第1/新時代の要請「安全・安心」問題
- 第2/「安全・安心」の構造と「市民安全」
- 第3/「グレーゾーン」問題の本質と安全・安心の創出
- 第4/世界標準の「セーフコミュニティ」の設計思想
- 第5/「創業」から「守成」の時代に入った地域安全と行政・警察の役割
- 第6/おわりに─市民安全学からの提言─
- 第2章●セーフコミュニティのまちづくり〜亀岡市、十和田市の事例から〜
- 第1/セーフコミュニティ活動
- 第2/京都府亀岡市での取り組み
- 第3/青森県十和田市での取り組み
- 第4/日本におけるセーフコミュニティの方向性
- 第3章●コミュニティづくりによる体感治安不安感の改善
〜市民協働による生活安全活力の再生と魅力あるまちづくり〜- 第1/取り組みを始めた背景と主な取り組み
- 第2/「不審動向情報」の有効活用による「体感治安不安感」の改善
- 第3/本厚木駅周辺のにぎわいと安全「安全と魅力づくりにチャレンジ」
- 第4/セーフコミュニティ認証に向けての挑戦!
- 第5/まとめ
- 第4章●歌舞伎町タウン・マネージメントにおける歌舞伎町ルネッサンス事業の現況
〜だれしもが楽しめるエンターテイメントの街を目指して〜- 第1/歌舞伎町誕生の歴史
- 第2/治安状況
- 第3/歌舞伎町浄化作戦の具体的始動
- 第4/歌舞伎町タウン・マネージメントの設立
- 第5/おわりに〜これからの歌舞伎町〜
- 第1章●市民安全学からの視点
- 第2部 成果を上げる犯罪撲滅に向けた行動
- 第5章●振り込め詐欺の防犯対策と関係機関の連携について〜警視庁の取り組みを事例にして〜
- 第1/はじめに
- 第2/振り込め詐欺の現状
- 第3/科学的根拠に基づく振り込め詐欺防止対策
- 第4/更なる検証
- 第5/関係機関との連携
- 第6章●防犯カメラによる「安心の目」構築〜警視庁、杉並区、市川市等の取り組みの紹介〜
- 第1/身近になりつつある防犯カメラ
- 第2/防犯カメラの取り組みと現状
- 第3/防犯カメラは効果があるのか
- 第4/防犯カメラは必要ないのか
- 第7章●青色防犯灯を活用した安心安全なまちづくりに向けて
〜2007年度鹿児島市との共同研究から得られた示唆を中心に〜- 第1/英国発、奈良県から全国に急速に広がる青色防犯灯。安心で安全なまちづくりへの思いに潜む危うさ
- 第2/鹿児島市における社会実験から得られた課題と示唆
- 第3/青色防犯灯を活用した安心で安全なまちづくりに向けて
- 第4/共同研究後の鹿児島市の取り組み
- 第8章●条例による政策実現の可能性〜広島市暴走族追放条例の制定過程を事例に〜
- 第1/条例の制定過程とその問題
- 第2/広島市暴走族追放条例の制定過程
- 第3/広島市暴走族追放条例の執行過程と裁判過程
- 第4/広島市の事例から学ぶべきこと
- 第9章●子どもにとって最善の利益を目指した政策開発
〜奈良県の犯罪被害の防止、三重県の虐待防止等の事例から〜- 第1/子どもの福祉の増進を目指して
- 第2/地方自治体における「子ども条例」の現況
- 第3/子どもの安全・安心の確保に特化した条例
- 第4/子どもたちの最善の利益を求めて
- 第5章●振り込め詐欺の防犯対策と関係機関の連携について〜警視庁の取り組みを事例にして〜
- 第3部 地域目線で創りだす防犯・防災
- 第10章●感度創造のコミュニティ形成に向けた防災・減災・防犯マップづくり
〜中野区鷺宮におけるまちづくり活動を例に〜- 第1/日常生活の中で危険予測・危険回避力を高める
- 第2/居住環境の質を向上させる延長上の防災・減災・防犯まちづくり
- 第3/(生活)感度を育む地域まちづくりの実践―中野区鷺宮のまちづくりの取り組み
- 第4/感度創造のコミュニティと、安全・安心の「仕掛け」
- 第5/安全・安心の「仕掛け」を生活の中に埋め込む
- 第11章●防災・防犯へ向けた行政・住民組織の連携による新たな取り組み
〜「地域安心安全ステーション(総務省消防庁)」・「地域安全安心ステーション(警察庁)」〜- 第1/地域コミュニティの変質と安全・安心への住民意識の高まり
- 第2/総務省消防庁による「地域安心安全ステーション整備モデル事業」
- 第3/警察庁による「『地域安全安心ステーション』モデル事業」
- 第4/「国分寺市立第三中学校地区防災センター」における取り組み
- 第5/行政・住民組織の新たな連携の可能性と今後の課題
- 第12章●防犯まちづくりにおける地域力の視点〜滋賀県の事例を参考として〜
- 第1/滋賀県における事例調査の位置づけ
- 第2/「地域防犯システムの構築に関する研究」の概要
- 第3/防犯まちづくりのポイントをどう考えるか
- 第4/地域力を活かした防犯まちづくりのために
- 第10章●感度創造のコミュニティ形成に向けた防災・減災・防犯マップづくり
- 第4部 次代に向けた安全・安心まちづくりの広がり
- 第13章●更生保護と安全・安心まちづくりの新たな可能性〜更生保護と自治体の連携に向けて〜
- 第1/問題の所在
- 第2/更生保護の成り立ち
- 第3/更生保護制度の動向
- 第4/更生保護における安全・安心への取り組み
- 第5/更生保護と自治体
- 第6/新たな安全・安心まちづくりの可能性に向けて
- 第14章●自治体ごとの取り組みの差異からみた安全・安心活動の方向性
〜埼玉県熊谷市・深谷市・本庄市の取り組みを事例に〜- 第1/埼玉県北部3市の状況
- 第2/熊谷市の取り組み
- 第3/深谷市の取り組み
- 第4/本庄市の取り組み
- 第5/安全・安心行政の目指すべき方向
- 第15章●自治体業務と安全・安心行政との関わり〜特に防犯面からの問題提起〜
- 第1/安全・安心行政の由来
- 第2/警察制度改革
- 第3/自治体業務と安全・安心行政の関係を考える
- 終章●「実践」と「理論」からみる生活安全行政のポイント
- 第1/安全・安心の「主体」の転換─コミュニティ・アプローチ
- 第2/「手法」の転換─規制アプローチ
- 第3/「目線」の転換─ボトムアップ・アプローチ
- 第4/「思考」の転換─社会アプローチ
- 第13章●更生保護と安全・安心まちづくりの新たな可能性〜更生保護と自治体の連携に向けて〜
- 特別付録●安全・安心にまつわる小話集
- ◆体感治安の改善には、治安が悪くなった原因の改善が必要
- ◆「こころの修理論」(安全と安心の違い)
- ◆マキャベェッリの慧眼(人間の運命50%論)
- ◆先駆的日本市民安全学揺籃の地:春日井市安全アカデミー
- ◆「異業種」採用のススメ
- ◆あきらめない、慌てない、焦らない
- ◆生活安全の実現を阻害する2つの課題
- ◆無責任な発言には困ります
- ◆「犯罪に強いまち」か「犯罪のないまち」か
- ◆生活安全条例の規定っておもしろい(その1)
- ◆生活安全条例の規定っておもしろい(その2)
- あとがき



