−NBC災害時の活動要領と貴重な事例をまとめた必読書−
2001年9月11日アメリカで発生した同時多発テロ事件は、ニュースメディアを通じて全世界に配信され、我々にテロの脅威をまざまざと見せ付けました。また、最近では、ロンドンやインドでの爆破テロなど世界各国においてテロ事案が発生し、我国においても1995年3月地下鉄サリン事件が発生し多くの被害者を出しました。このような状況下、2004年6月には国民保護法制が整備され、有事における国民の生命の安全確保に関する任務は主として消防機関に課せられたところであります。
さらに、平時においても、核燃料施設での臨界事故をはじめとして特異な災害が発生し、従来の消防活動では対応できない事件・事故が続発しています。
一方、私たちは、日常生活において多くの化学物質等に囲まれて生活しており、それらを大量に取扱う工場や運搬中の道路上において毒劇物、危険物等の漏えいなどの災害が発生しています。
このように、昨今ではNBC災害はテロに起因するもののほかにも、日本全国どこにおいても起こりうるごく身近なものとなっています。
こうした現況を踏まえ、全国消防長会では東京消防庁をはじめ全国の消防本部にご協力をいただき、NBC災害における消防活動の実践的必携書として本書を発刊するにいたったものであります。
本書の内容は、テロや日常に発生するNBC災害活動時における消防活動上の留意事項、活動要領及び実際の災害事例で構成し、これらの災害に立ち向かう消防職員に、災害事例を通してその根拠となる基礎的な消防活動を示すことによって、類似災害に対する災害対応力の向上や2次災害の防止をはじめとする安全性の向上を図るものとしています。
本書は、この種の災害発生時に第一線に立って任務を遂行する消防職員や消防関係者にとり有益な手引きとして活用できる他に類の少ない参考書であると考えます。
発刊にあたり、東京消防庁の全面的な協力をはじめ全国の消防本部に多大な協力をいただくとともに、東京法令出版(株)の担当者にご支援をいただきました。記して、感謝申し上げます。
本書が消防業務必携として、広く活用されることを念願するものであります。
平成19年3月
全国消防長会 会長