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ハンドブック 刑事法

−罪と罰の現在−

編著/監修
前田 雅英 著
(首都大学東京法科大学院教授)
体    裁
A5  128ページ
本体価格+税
1,000円+税
 ISBN
ISBN978-4-8090-1303-4
C3032 \1000E
発 行 日
平成26年2月15日
内容現在
平成26年1月20日
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はしがき

本書は,警察官をはじめとする,現在の日本の刑事司法実務に携わられる方々に,是非念頭に置いておいていただきたいことを,できる限り分かりやすくまとめたものである。具体的には,警察大学校,管区学校をはじめ,広く刑事司法に関連する各種研修の講義案として書き下ろしたものである。

法律知識は,現実の社会の動きと切り離されると,誤った理解に至る場合がある。そもそも,現在の状況を踏まえなければ,法の解釈は不可能である。刑法・刑事訴訟法の考え方も,10年前とはかなり異なっている。まして,20年以上前に学んだ内容は,かなり補正しなければならない。法が改正されたということ以上に,「考え方」が動いてきているのである。最近では,裁判員裁判の定着が,刑事法の考え方の地盤をじわじわと動かしている。判例の重要性も増している。

これまでも,「法」は動くものであり,それを動かす最前線で仕事をすることの意義を説明してきたつもりである。ただ,多くの研修の場合,講義時間が限られているため,どうしてもお伝えしたい情報の一部をお伝えできない面があった。本書はそれを補うためのものである。

「専門家に対する講義案」という意味では,もっと詳しい情報を盛り込んだ方が良いが,「全体」を俯瞰した上で,現実の問題を擬律していただくことが何より大事だと考え,また,研修期間に読み切ることのできる量,教材としての適切な価格を意識した。より多くの皆様に読んでいただき,「現場でこそ,知識より,判断力,そしてそれ以上に『国民の常識の体現』が重要である」ということを知っていただければと希望している。

本書の完成には,東京法令出版の編集・校正スタッフの皆さんに大変なご尽力をいただいた。ここに,心から御礼申し上げる次第である。

平成26年1月

前田 雅英


目次

  • 1 社会が刑事法理論を動かす
    • (1) 治安の良さ −日本の誇るべきもの
      • 犯罪状況は大きく変動した
      • 戦後の前半期はなぜ治安が良かったか?
      • 日本の刑務所があふれ出した
      • 外国人犯罪の増加
      • 全国一律に「犯罪の半減」に成功した
    • (2) 刑事法理論の変化
      • 社会の変化が理論を変えた
      • 被害者目線の刑事法に −児童虐待・ストーカー・DV
      • 行為無価値論と結果無価値論の対立の意味
      • 法と道徳と価値判断
      • 「理論」は実務が作る
  • 2 刑事訴訟システムと刑事訴訟の考え方
    • (1) 刑事司法の現状
      • 犯罪の認知と送致
      • 簡易送致制度の運用
      • 捜査の端緒
      • 送検と起訴
    • (2) 刑事訴訟の考え方の基礎
      • 現在の刑事システムの歴史
      • 当事者主義と職権主義
      • 捜査の構造論
      • 捜査現場における実質的対立点
    • (3) 捜査の適法性の限界
      • 任意捜査と強制捜査
      • 強制捜査(処分)の具体的基準
      • 任意捜査の許容範囲と限界
      • 職務質問と実力行使の可否
      • 所持品検査
      • 自動車検問
    • (4) 逮捕・勾留と捜索・差押え
      • 被疑者の逮捕・勾留
      • 逮捕者の取調べ受忍義務
      • 取調べの可視化
      • 捜索・差押え,検証
    • (5) 公判廷での審理
      • 起訴状一本主義
      • 裁判員制度
      • 裁判の開始
      • 証拠調べ
    • (6) 証拠法
      • 裁判における証明
      • 証拠能力と厳格な証明
      • 挙証責任と「疑わしきは被告人の利益に
      • 証拠の種類
      • 供述証拠と伝聞法則の例外
      • 違法収集証拠排除
      • 自白の意義
      • 自白法則
      • 自白の証明力と補強証拠
  • 3 日本の罪と罰の考え方
    • (1) 犯罪とは何か
      • 犯罪の定義
      • 刑罰と犯罪
      • 日本の刑事法の特徴
    • (2) 刑罰の考え方
      • 応報刑論と目的刑論
      • 応報刑と道義的責任論
      • 目的刑と社会的責任論
      • 現代日本の刑罰理論
      • 応報刑と目的刑の関係
      • 死刑について
  • 4 刑法理論の骨格
    • (1) 構成要件
      • 「構成要件に該当して,違法で,有責な行為」
      • 条文解釈の意味
      • 日本人の常識と解釈
      • 構成要件の基本構造
      • 実行行為の重要性
      • 不作為と実行行為
      • 未遂 −実行行為の開始
      • 着手時期についての具体的判断
      • 不能犯
      • 中止犯
      • 因果関係論
      • 具体的な因果関係の判断
    • (2) 故意と錯誤
      • 故意とは何か
      • 錯誤の意義
      • 未必の故意
      • 事実の錯誤と国民の常識
    • (3) 正当化事由・責任阻却事由
      • 構成要件に該当するのに許される場合
      • 正当行為・業務行為
      • 日本の正当防衛の考え方
      • 急迫不正の侵害に対する防衛行為
      • やむを得ずにした行為
      • 緊急避難
      • 期待可能性
      • 責任能力
    • (4) 共犯論
      • 日本の共犯の実像
      • 共犯と間接正犯
      • 共謀共同正犯
      • 犯罪理論体系の意味と役割
  • 5 現代社会の刑法的課題
    •  
      • ネット社会の発展と犯罪情況
      • 社会が複雑化すると,「財産犯の本質論」はどうなるのか?
      • 詐欺罪解釈の微妙な変化
      • 財産犯の客体の拡大
      • 失業率と財産犯
      • 家庭と犯罪
  • 事項索引
  • 凡例

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