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第1巻 刑事編

目 次

第1章 刑法関係
1.公務執行妨害・傷害被告事件(荻原統一)
 巡査に対する公務執行妨害・傷害被告事件で一審でいずれも無罪となり確定した事例(高松地裁平成4年11月5日判決)

2.強制わいせつ被告事件(森井利和)
 電車内で痴漢行為をしたとして起訴された、強制わいせつ被告事件について、被害者の証言は犯人と被告人を誤認した疑いをぬぐい切れないとして、犯人性を否定し、一審で無罪判決が言い渡され、その判決が検察官による控訴のないまま確定した事例(東京地裁平成7年5月10日判決)

3.強姦致傷・殺人被告事件(吾郷計宜)
 法廷で、事件当時、酔っ払っていたので覚えていないと弁解する被告人の捜査段階の自白調書の信用性が否定され、一審で無罪となり確定した事例(松江地裁平成2年3月15日判決)

4.強制わいせつ致傷被告事件(臼井 満)
 被害者・目撃者の供述、繊維片の鑑定結果によっても被告人の犯行は認定できないとした事例(高松地裁平成3年4月15日判決)

5.土地改良法違反(贈収賄) 被告事件(木山義朗)
 土地改良区理事長に対する賄賂の提供事案において、もう一人の贈賄者と土地改良区理事長は有罪となったが、本件被告人について一審は賄賂の認識がなく土地改良区理事長が営む不動産業の土地売買の仲介料として支払ったなどとして無罪となり、検察官が控訴したが控訴棄却となり無罪が確定した事例(鹿児島地裁平成4年11月15日判決)

6.殺人・現住建造物放火被告事件(杉谷義文)
 被害者のダイイング・メッセージに引きずられた捜査と自白の強要と判断され一審・二審とも無罪となった事例(大阪地裁堺支部平成2年2月8日、大阪高裁平成5年5月7日判決)

7.殺人(既遂) 被告事件(今井秀智)
 幻覚・幻聴、意識混濁などの一切認められない殺人事件について、責任能力の有無について適切に指摘し、裁判において限定責任能力と認定され、かつ解放後の環境を整えたことにより執行猶予となった事例(横浜地裁平成12年3月9日判決)

8.傷害被告事件(泉谷恭史)
 暴力団組員によるスナックの経営者に対する傷害事案で、従業員が法廷証言を事実上拒否したので、他の客の第三者証言を重視し、被害者側の供述の信用性を否定した事例(和歌山地裁平成8年10月28日判決)

9.傷害致死被告事件(大塚喜一)
 暴走族の通行人に対する集団暴行致死事件で、その場にいた被告人について、共犯者とされる友人たちの目撃供述・法廷証言の信用性が否定され、一審無罪判決が控訴なく確定した事例(千葉地裁平成6年3月25日判決)

10.業務上過失致死事件(寺井一弘、桑原育朗)
 ダートトライアル練習中の事故死について、競技の社会的相当性を認め無罪となり確定した事例(千葉地裁平成7年12月13日判決)

11.窃盗保護事件(少年事件) (外塚 功)
 デパート婦人服売場の店員であった少年がレジから現金4万7,998円を抜き取ったとされ、窃盗保護事件として家裁送致されたが、警察での自白調書(身体拘束はなかった) の任意性が否定され不処分となった事例(山形家裁平成4年3月17日決定)

12.窃盗被告事件(中村亀雄)
 被告人から「金を盗んだ」と聞かされたという者の供述を、被告人や被害者らの供述と食い違いがあって信用できないとして、無罪となった事例(奈良地裁平成6年3月30日判決)

13.恐喝被告事件(古本栄一)
 恐喝犯人と被告人の同一性につき、被害者の犯人識別についての供述や、自白調書の信用性等を詳細に検討したうえで、これを否定し、犯人識別過程における問題点等を指摘して、無罪を言い渡した事例(福岡地裁平成7年12月20日判決)

第2章 交通・特別法関係
1.道路交通法違反(速度違反) 被告事件(水谷 賢)
 速度違反場所の特定に欠けるとし、訴因変更を認めず無罪となった事例(倉敷簡裁平成3年8月20日判決)

2.業務上過失致死、道路交通法違反被告事件(新田義和、松永克彦)
 被害者が対向歩行中であったとの検察官の主張を退け、前方注視義務違反を否定した事例(広島地裁平成6年2月18日判 決)

3.覚せい剤取締法違反被告事件(松田幸子)
 交際相手の女性に強いて覚せい剤を注射したとの事件につき、その女性の供述の信用性及び被告人の自白調書の信用性が否定され、当該女性の単独自己使用が事実上認められ、無罪とされ一審で確定した事例(宮崎地裁平成2年3月22日判決)

4.覚せい剤取締法違反被告事件(石塚英一)
 覚せい剤所持事件で、覚せい剤の割合についての鑑定を申請し、その割合が1.9パーセントであるとの結果をふまえて、覚せい剤性の認識に関する自白調書の信用性を争い、無罪となった事例(千葉地裁木更津支部平成3年5月10日判決)

5.覚せい剤取締法違反被告事件(阿波連光)
 被告人が覚せい剤を無償で譲渡したということにより起訴された覚せい剤取締法違反被告事件において、譲受人とされる証人の証言が核心部分において不自然不合理な点が多いとして信用性が否定され、無罪判決が言い渡された事例(那覇地裁沖縄支部平成8年12月8日判決)

6.麻薬及び向精神薬取締法違反、関税法違反被告事件(込田晶代)
 被告人に受取りを指示されたと供述する共犯者の供述に全面的に依存することはできず、被告人の弁解も大きく破綻していない状況のもとで、被告人の共謀を認定するには合理的疑いが残るとして被告人は無罪とされた事例(東京地裁平成7年3月7日判決))

7.大麻取締法違反被告事件(石部奈々子)
 検問警察官の証言が客観的事実と矛盾し信用できないため、被告人の弁解を排斥できないとされた事例(東京地裁平成6年2月9日判決)

8.大麻取締法違反、銃砲刀剣類所持等取締法違反被告事件(船越 豊)
 情を知らない弟に拳銃を保管させていたという事案で、自白調書と保管者である弟の捜査段階での供述は一致しているが、客観的事実と一致しないなど不自然であるとして信用性を否定し、いったん公判廷で有罪であることを自認した自白のみをもって有罪とするわけにはいかないとした事例(千葉地裁平成6年3月24日判決)

9.暴力行為等処罰に関する法律違反被告事件(若松芳也)
 拳銃を発射して脅迫した事件で、目撃証人の自己矛盾と2つの銃器鑑定の相互矛盾等を追及して、被告人の犯人性が否定されて無罪となった事例(京都地裁平成2年1月17日判決)

10.暴力行為等処罰に関する法律違反被告事件(由良登信)
 暴走族が普通乗用自動車を襲い、足蹴や鉄パイプ等で数人共同して器物(自動車) を損壊したという事件で、共同実行したとされる被告人の一人について、捜査段階における自白の信用性を否定し、実行行為の事実も、共同加功の意思も認められないとして無罪となった事例(和歌山地裁平成6年2月18日判決)

11.出入国管理及び難民認定法違反被告事件(高野 隆)
 入管法違反の罪(超過滞在) について、超過滞在の故意がないとして無罪となった事例(浦和地裁平成5年3月19日判決)

12.公職選挙法違反被告事件(平田友三)
 公職選挙法違反被告事件(買収、饗応等) で、自白調書の信用性に合理的な疑いを差しはさむ余地があるとされ、被告人122名全員に無罪が言い渡されて確定した事例(大阪地裁平成3年3月4日判決)

13.所得税法違反被告事件(加藤高志)
 家族名義等を使用して所得を分散したとは認められないとされた事例(津地裁平成5年6月28日判決)

14.商法・特別背任罪被告事件(岩下嘉之)
 旧住専H社の特別背任事件ゴルフ場開発資金の融資を受けた借り手が返済不能に陥り、貸し手と共に特別背任の共犯に問われたが、融資当時借り手は融資金を返済し得ると認識していたことをゴルフ場開発事業の具体的内容、進捗状況等から立証したことにより無罪となり確定した事例(東京地裁平成12年5月12日判決)