TOP ↓各巻の概要をご覧ください。
第1巻 第2巻 第3巻 第4巻 第5巻
第3巻/目次詳細 第3巻/紙面見本[PDF]


第3巻 民事編(契約・会社関係)   編集 金井高志
目次
第1章 契約関係を巡る紛争  >>目次詳細へ
 1.いわゆる代行取得を巡る紛争(田中 豊)
 2.電子商取引を巡る紛争(金井高志)
 3.継続的契約関係の解消を巡る紛争(金井高志)
 4.投資勧誘を巡る紛争(桜井健夫)
 5.請負代金の回収を巡る紛争転用物訴権を中心に(折田忠仁)
 6.無権代理人による契約の追認を巡る紛争(三野岳彦)
 7.動産売買の先取特権を巡る紛争(中村元弥)
第2章 一般商事関係  >>目次詳細へ
 1.株式交換・株式移転を巡る問題(澤野正明・田中宏明)
 2.会社分割を巡る問題(澤野正明・大槻篤洋)
 3.ベンチャー企業の立ち上げ(金井高志)
 4.合弁会社の設立に関する諸問題(安部健介)
 5.会社の合併を巡る問題(鈴木秀彦)
 6.取締役の責任を巡る問題(田中 豊)
 7.監査役を巡る問題(佐藤恭一)
 8.ベンチャー企業によるファイナンスを題材として(清原 建)
 9.株主代表訴訟の実務(松尾 眞)
10.合名、合資、有限会社を巡る問題(鈴木秀彦)


編集にあたって
 現在の弁護士業務の大半は、民事又は商事にかかわる紛争の解決及び予防である。ただ、インターネット・コンピュータの普及やバブル崩壊後の経済状況の変化など激動する社会と市民生活のありようを反映して、その紛争内容は変化し、また、極めて複雑化している。実際に、本巻の企画・執筆依頼以降、インターネット取引に関してはいくつもの法改正や特別法の制定がなされ、また、株式会社について商法の度重なる法改正がなされている。そして、近時は、弁護士業務において、単に紛争の解決や予防(リーガル・リスク・マネジメント) というだけではなく、ビジネスのための戦略法務と呼ばれる部分のアドバイスも要求されるようになっている。

 このような状況を背景として、本シリーズの本巻(契約・会社関係)は、契約に関して従前から生起している事例から新しく発生している電子商取引の事例、そして、ここ数年の商法の改正により複雑化している企業運営に関係する事例やベンチャー企業に関する事例を取り上げている。そして、本巻は、このような契約・会社関係の問題につき、既に発生した紛争の解決のために弁護士が果たすべき役割や紛争解決のための手法、まだ発生していない法的問題についての紛争の予防のためのアドバイス方法などにつき、具体的な事例を基に提供することを目的としている。

 本巻における各事例の解説の論稿には、本巻の目的に沿って、それぞれの事例分野について経験のある弁護士により、具体的な事例に基づいてその種の事件を受任した場合の問題点及び解決策の見つけ方が記載されている。また、単に論点・争点についての判例・学説の分析ではなく、それらを踏まえての実務的な弁護士業務の進め方、また、既に発生した紛争事例については訴訟実務の観点から主張・立証の方法の解説もなされている。それぞれの事例分野につき実際の業務を経験している弁護士によるこれらの解説事項に留意して本書を読んでいただくことにより、いわゆる若手弁護士を含めたその事例分野の経験がない弁護士にとって、業務を円滑に進めることができるようになると思われる。

 また、現在、司法改革の一環として、ロー・スクールの開設準備が進められているが、そのカリキュラムには、従前の大学法学部の授業では扱われていない事項、すなわち、判例学説の分析・理解だけではない実際に生起する紛争事例についての実務的対応に関する事項も含まれることになる。本巻は、各紛争事例につき、判例学説を踏まえた上で具体的にどのように弁護士業務を行うかを実務的に解説しているものであり、ロー・スクールでの教材・参考資料として利用されることも期待される。

 各論稿が、実際の業務を経験している弁護士の問題解決・アドバイス方法についてのノウハウを得るために役立ち、また、学界と弁護実務の間の架け橋としての役割を果たすことができれば、編著者としては幸いである。
 なお、本書における会社関係の事例につき、原則として平成13年12月現在で施行されている商法に基づき解説がなされており、まだ施行されていない平成13年11月成立(平成14年4月1日施行) の改正法及び平成13年12月成立の改正法については、説明がなされている事例とない事例がある。したがって、本巻の会社関係の部分の論稿を利用するにあたっては、平成13年12月以降に施行される商法改正については留意していただきたい。

 本巻の刊行にあたり、忙しい日常の弁護士業務の合間に解説を執筆いただいた執筆者各位に、また、特に会社関係の事例の解説を執筆していただき、一度執筆いただいた原稿につき商法改正のための修正をしていただいた執筆者の方には、ご協力に対してお礼を申し上げる。
2002年2月20日  
金井高志