プロジェクトＸ 挑戦者たち
炎上 男たちは飛び込んだ

〜ホテルニュージャパン・伝説の消防士たち〜

昭和57年2月8日、東京赤坂の大型高級ホテル、ホテルニュージャパンで火災が発生した。出火は午前3時24分。原因は宿泊客の寝たばこだった。スプリンクラーなどの消防設備の不備、客室内装の防火環境の不備などから、瞬く間に9階と10階に燃え広がり、消防車が到着したときには100名近い宿泊客が逃げ遅れて取り残されていた。東京中から応援の消防車が駆けつけたが、火の勢いはいっこうに衰えず、救助活動は難航した。このとき、先頭に立って人命救助にあたったのが、麹町消防署永田町出張所・特別救助隊。高野甲子雄を隊長とする6人だった。高野らは果敢にも炎に包まれた建物に突入し、火災現場である9階へと駆け上がっていった…。

プロジェクトＸ 挑戦者たち
絶体絶命 650人決死の脱出劇

〜土石流と闘った8時間〜

この日、最悪の事態はJR日豊本線の竜ヶ水駅付近で発生した。1台の列車が豪雨のために立ち往生。さらにすぐ下を走る国道10号線は、帰宅ラッシュの渋滞の最中だった。この付近は、海岸の間近まで急斜面がせまり、わずかな平地は日豊本線と国道10号線がかろうじて通るだけの余裕しかない。しかも、1時間に90ミリという激しい雨で地盤がゆるんでいる。まもなく数か所で土砂崩れが起こり、道路も路線もふさがれてしまう。あやうく直撃を免れた列車の乗客は、国道に非難した。

渋滞中のドライバーと列車の乗客、合わせて650人。行く手を土砂でふさがれ、前には見上げる急斜面、後ろは海。絶体絶命の孤立状態に陥った。取り残された人々の中には、生後3か月の赤ん坊を抱いた母親もいる。足の不自由なお年寄りもいる。そして、偶然にも区間で検問をしていたひとりの警察官がいた…。