月刊警察2008.11月号
雨が降って、秋らしくなってきました。しとしと雨が降りそそぐ中、傘を差さずにカッパを着て、近くの林を静かに歩いてみると何だか不思議な感覚になることがあります。雨の粒が体に当たるたびに、空と自分がつながっているような気がしてくるのです。普段過ごす街の中で、傘を差してしまうのがもったいないような気持ちにさえなります。
また、『死神の精度』(伊坂幸太郎・著)という本を読んでいると、その中に「『人間というのは、眩しい時と笑う時に、似た表情になるんだな』(中略)『言われてみれば、意味合いも似ているかも』(中略)『眩しいのと、嬉しいのと。似てるかも』(中略)ほんと、眩しいね。老女が弾むような声で言うのが、聞こえた」とありました。とても素敵な話です。
雨に濡れてみたり、眩しい時と笑う時に似た表情になることを気付いてみたり、ふとした時に気付き・感じることが意外と大切だったりすることもあるのだと感じてなりません。大事なことは、日々生活しているどこにでも隠れているのだと思うのです。毎日が少しだけ楽しくなってくる、このような感覚は大切なのではないでしょうか。
本誌を読んでいただき、読者の方に、どれだけ大切な何かをつかんでいただけるかが、本当に大事になります。どの頁を開いても、読者のどなたかが、何かを感じていただけるように頑張ります。
(Nぽん)