月刊警察2009.1月号
創刊以来65年という長い歴史を持つ総合雑誌『読売ウィークリー』が、12月14日号をもって休刊しました。毎週楽しみにしていた者には、突然の出来事に受け入れがたい何かを感じてならないでしょう。「時流には逆らえずに休刊」と思われるのですが、この雑誌が伝えたかったであろう信念みたいなものは、心待ちにしていた読者たちには、必ず残っていくような気がします。
夏目漱石は、鈴木三重吉宛の書簡の中で綴っています。「死ぬか生きるか、命のやりとりをする様な維新の志士の如き烈しい精神で文學をやって見たい」。時の流れは絶対にあり、その時々で変化は必要なことと分かっています。しかし、この漱石の言葉を聞くたびに、時流に左右されない「不撓な意識・心」は、何かを世に残そうとする者には大切なことだと思えてなりません。世の中に存在するものがいずれは形を滅ぼしたとしても、「信念」をつらぬきとおす心だけは、それを受け継ぐものたちの心に厳然と残っていくと信じています。だからこそ、作る側の心がとても大事なのだと感じます。
21年は、さらに景気が悪化するのではないかと懸念されています。「嵐に動かぬ大樹」のように、「強い信念」を持ち、それを維持しながら、誌面の充実を図っていきたいと思います。この「編集室発」を書き終えようとしているいま、ふと見えた空は赤々を燃えていました。
(Nぽん)