月刊警察2009.5月号
『ビッグイシュー』という雑誌があります。イギリスで創刊され、社会的役割を担った雑誌で、ホームレス自立支援を目的としています。売上げの一部が販売者に入るシステムです。著名人が表紙を飾る雑誌を手にかざし、街角で立つ人を見たことがあると思います。雑誌を売るために声を出すわけでもなく、ただ雑誌を持ち立ち続ける姿に「何だろう」と感じていた方も多いのではないかと思います。
我々は、そのような人に対して、奇異に感じてしまいがちで、そのまま通り過ぎてしまうことが多いでしょう。一歩立ち止まり、気にして見てみると新たな世界が広がり、現れてくるものです。立ち止まるときに必要なこととは何か、それは“勇気”です。『ビッグイシュー』を通して感じることは、“人への思いやり”が“勇気”につながっているということです。私は、路上で『ビッグイシュー』を持つ人を見つけたら、“勇気”を出して必ず買うようしています。そのような慣習が根付いていけば、きっと社会のあり方もいい方向に向かっていくことを信じています。
今月号の「子どものこころと少年問題」で「非行に走らなかった理由」が書かれていました。「幼いころに見ているものが大事」ということが伝わってくる秀作です。子どもが見て「いい世界だ!」と思える環境を、我々のちょっとした“勇気”の積み重ねで創っていけることを忘れてはならないと思います。
(Nぽん)