月刊警察2009.12月号
若者文化の発信地,東京・渋谷では,女子高生を中心に,今も次々と新語や略語が生み出されていると聞きます。「KY」という言葉さえ,対面では発することもなく終わった私には,理解が及ぶはずもありません。
この手の流行語・死語の繰返しに迫ろうとするには,とうに無理な年代ですが,眉を顰めるつもりはないのです。むしろ,その発想の豊かさには,驚かされるものがありました。
ただ,少なくとも,文字,文章,そして言の葉を業としている私どもとしては,これからも,正しい日本語を大切にしていく姿勢を守りたいと思います。
日夜,捜査書類をはじめあらゆる文書を正確に作成し,適切な市民応接に携わっている警察官の皆様もまた,同じではないでしょうか。言葉に限ったことではありませんが,ベテランの大量退職時代を迎えた今,警察における伝承教育の現場を垣間見るにつけても,こうした“伝えていく思い”の熱意に触れ,その崇高な使命感を感じ取ることができます。
小社内でも,最近の動きとして,日本語検定に挑戦したり,「出版人として当然知っておかなければならない常識」を毎回ドリル形式で出題し,全社員で取り組んだりしています。知っていそうで知らなかったこと──「聞くは一時の恥,聞かぬは一生の恥」。小学校の恩師の言葉が,脳裏を過りました。
(S)