月刊警察2010.7月号

■リサイクルコンクリート
コンクリート施設を解体した際に出る廃コンクリートを粉砕したものに,新しい原料を半量混ぜて作った再生品のコンクリート。
東京電力は神奈川県川崎市にある川崎火力発電所の建替え工事にリサイクルコンクリートを利用。基礎工事に必要なコンクリート材の8割に相当する1万1,000?を,この再生品で賄った。
リサイクルコンクリートを活用すると原料コストを抑えられる上,廃材の処理費用も減るため,基礎工事コストが従来比45%減。廃材の輸送工程も不要となり,二酸化炭素(CO2)排出量は160世帯の年間排出量に当たる850tを削減できたという。

■北極振動
北極圏の気圧と北半球の中緯度の気圧が,シーソーのように高低し入れ替わる現象。その結果,北極の寒気が日本を含む中緯度地域に流れ込み,北半球全域が強い寒気に襲われる。1998年,アメリカ・ワシントン大学のデービッド・トンプソンとジョン・ウォーレスが命名した。
昨年12月初旬,アラスカやグリーンランド付近の北極圏に高気圧が生じ,その直後に成層圏で突然昇温(北極圏上空の成層圏の温度が1週間に25℃以上上昇する現象)が起こり,同月に東シベリア上空,翌1月には北極圏上空の気温が30℃以上上昇した。
北極圏の気圧が高くなると,中緯度地域に強い寒気が流れやすくなる。また,突然昇温とエルニーニョ現象(太平洋ペルー沖の海面水温が高くなる現象)が重なると,北極振動が強まる傾向がみられるという。この影響で,日本では昨冬,平均気温は高いが寒暖の差が激しく積雪が多いという異常気象が続いたと考えられている。

■ニューノーマル
「新たな普通」と訳される。世界最大の債券運用会社ピムコの最高経営責任者モハメド・エラリアンが提唱したもので,世界経済はリーマン・ショックから立ち直ったとき,危機前の姿に戻るのではなく,全く別のものになるという意味合いをもつ。
リーマン・ショックの前後を比較すると,以前は米ドルが国際経済を主導していたが,現在はインドや中国等新興国の経済がリード。アメリカ国内の経済においても自由化と規制緩和による市場主導型が薄れ,政府の関与が強くなった。一般には,「少しでも安いものを繰り返し使う」傾向が主流になりつつある。各国政府も大規模な財政出動を行うようになってきている。

(本誌「MONTHLY KEY WORD」より抜粋)