月刊警察2011.2月号

■グローバル犯罪
近年,経済のグローバル化や情報通信技術の発達に伴い,国境を越えた結び付きによる犯罪が増えている。宝飾品を狙う「ピンクパンサー」と名乗る国際強盗団や,メンバーの国籍が5か国に及ぶ自動車窃盗団のほか,日本人会社員を商談名目で国外に呼び出し,誘拐する事件なども多発している。
『警察白書』(平成22年版)によると,2009年の逮捕者のうち4人組以上の犯行は,日本人が2.2%であるのに対し,来日外国人の割合は19.6%に上る。刑法犯での摘発者のうち国籍・地域別では,中国が38.2%,韓国,ブラジル,ベトナムがそれぞれ約10%となっている。

■父子家庭差別
母子家庭と比べ平均所得が高いという理由で,父子家庭への公的援助が限定的である状況を指す。昨年には,それまで母子家庭だけに支給されていた児童扶養手当が,父子家庭にも適用されるようになった。
しかし,指定講座受講の際に国から支払われる自立支援の給付金,看護師資格取得などのために受けられる資金援助は,現在も母子家庭のみを対象としている。また,パート労働者を常用雇用にした事業主に支払われる奨励金制度も,適用となるのは母子家庭のみで父子家庭は対象外だ。
2005年の国勢調査によると,全国の父子家庭数は約9万世帯。1990年代後半から,離婚件数の増加と比例して増え続けており,「ひとり親家庭」として母子家庭と同様の支援を求める要望が高まっている。

■ウィキリークス
民間人が運営する内部告発を専門としたインターネットサイト。創設者であるオーストラリア出身のジュリアン・アサンジュは,10代からシステム侵入を繰り返し,20代で不正アクセスの罪に問われたが,「全ての情報にあらゆる人がアクセスできるべきだ」と主張。政府や企業など,内部情報に接触できる人物から匿名で寄せられた情報を掲載するサイトを立ち上げた。
情報は提供者を特定できない暗号化技術を用いて,サイト上の「情報提供ボックス」で受け付ける。情報を蓄えるサーバーも万全を期し,取材源の秘匿が憲法で保障されているスウェーデンの核シェルターに保存。
資金の大半は世界中から集まる寄付で賄い,約1,200人のボランティアが活動を支える。投稿された告発情報は確認した上で公開。昨年10月にはイラク関連文書約40万件,11月にはアメリカ政府の機密公電などを含む約25万件の外交文書を公開した。

(本誌「MONTHLY KEY WORD」より抜粋)