月刊警察2011.6月号

■罹災証明書
被災地の市町村が住宅の外観など損傷の被災状況を調査し,被害の度合いを区分して家屋の所有者や借主に対して発行する書類のこと。被災証明書ともいう。地震の場合は全壊,大規模半壊,半壊,一部損壊の4区分に分類される。
被災者生活再建支援法に基づき,壊れた家屋の修築費用などの支援金を受け取る際に必要となるほか,義援金の配分や被災者向けの低金利融資を受ける場合の証明書類ともなる。調査方法や発効時期は,市町村によって異なる。
なお,罹災証明書の法的根拠について,罹災証明書の交付を明確に規定している法律はないものの,一般的には,地方自治法(2条)や災害対策基本法などに基づいた各自治体の防災・救助事務の一環として実施されている。

■教育移住
子どもの教育に極めて熱心といわれる韓国では,教育のため家族が海外へ生活拠点を移す例が目立っている。移住先はカナダやアメリカ,オーストラリアなど。韓国では有名大学を出ても就職が厳しく,たとえ入社しても昇進が遅れれば40歳前に早期退職を迫られることもあるという。
そこで,自国にいるより,海外に活躍の場を見出そうと,母親同伴での留学や家族全員で移住するケースが急増。子どもに外国籍を取得させるため留学先で出産,育児を行う女性や,出産目的で一時的に渡航する妊婦も多い。
韓国政府はこうした人材流出対策として,今年1月に国籍法を改正。外国籍を保持したまま韓国籍を取得できる二重国籍を制度化し,外国籍取得者が自国へ戻れるようにしている。

■プレアビヒア寺院遺跡
カンボジアとタイの国境にある,9〜12世紀のクメール帝国時代に建立されたヒンズー教寺院。周辺4.6?で,本堂は標高657mの山頂にある。旧宗主国のフランスが20世紀初頭,同遺跡をタイ側に含める地図とカンボジア側に含める地図の2種を作成したことから,帰属が争われている。
カンボジアとタイは領有権を巡り,1958年に一時断交。1962年に国際司法裁判所がカンボジア帰属を認めたが,遺跡周辺の国境線画定は両国の協議に委ねられたため紛争が絶えない。2008年,カンボジアが国連教育科学文化機関(ユネスコ)の世界遺産に登録したことで対立が再燃し,両国が交戦する事態となった。
カンボジアのフン・セン首相は昨年12月,「遺跡周辺に駐留する部隊を撤退させる」と表明,タイ側にも撤退を迫ったが受け入れられず,遺跡の修復は依然として進んでいない。

(本誌「MONTHLY KEY WORD」より抜粋)