月刊警察 2012年 3月号 MONTHLY KEYWORDS
月刊警察

暴力団排除条例

事業者に対し,暴力団関係者に利益を供与することを禁じる条例。昨年10月,東京都と沖縄県での施行により,全都道府県で施行されたこととなった。

東京都の条例では,事業者の暴力団関係者に対する利益供与の禁止に関して,(1)事業者は,暴力団の威力を利用する目的で利益を提供してはならないこと(暴力団関係者が利益を受領することも禁止),(2)事業者は,暴力団の活動を助長する目的で利益を提供してはならないこと(同上),(3)利益供与の事実等について,事業者が自ら申告した場合は,勧告等の措置を行わないことなどを規定している。

利益供与の例として,「飲食店が暴力団にみかじめ料を支払う」,「暴力団にトラブルを解決してもらい,その謝礼を支払う」,「暴力団事務所に監視カメラを設置する」などが挙げられ,悪質な行為や違反の繰返しには,企業名の公表や,1年以下の懲役又は50万円以下の罰金も科される。

暴力団の資金源根絶を目的としており,事業者側にとっては,条例を理由に暴力団との関係を断ちやすくなるといわれている。


宅配水

家庭に給水用サーバを貸し出し,大型専用ボトルの飲料水を定期的に届ける宅配サービスが拡大している。昨年3月の東日本大震災以降,水を蓄えておく必要性が注目され,家庭用の需要が高まったことが要因だ。

一般社団法人日本宅配水協会によると,昨年の市場規模は,推定で前年比30%増。ボトル1本の価格は500ml換算で60〜80円程度だが,割安感や便利さから人気という。

サービスを展開する各社では,放射性物質について検査結果を公表するなどの取組にも力を入れている。


キャッシュ・フォー・ワーク(CFW:Cash For Work)

これまで開発途上国などの災害復興に多く用いられてきた方法で,日本では「労働対価による支援」と訳される。災害地で被災者を復興事業に雇用し,対価を支払うことで復興を促す支援プログラムのこと。

現在は,東日本大震災の被災地でも,自治体などが積極的に採用。福島県相馬市では,昔の行商のように野菜や生活用品をリヤカーに積み仮設住宅を巡回販売するCFWが行われている。これが仮設住宅に居住する単身者や高齢者とのコミュニケーションの機会にもなっているという。

従来のCFWは,がれき撤去などが主だったが,ボランティアに頼ってきた内容を雇用に転換。女性や高齢者の就労も可能になったことから,被災者が充実感や希望を得る一助になるものと期待されている。