月刊警察 2012年 5月号 MONTHLY KEYWORDS
月刊警察

社会貢献型株主優待制度

上場企業の株主が株主優待を受ける代わりに,被災地の支援を行っているNPO法人などにその企業が寄付することを選択できるシステム。東日本大震災以降,株主間の社会貢献を求める傾向の増大と,株式相場が低迷する中で,投資家の関心を高めたいという企業側の狙いとが一致して出現した制度であるといえる。

三菱UFJフィナンシャル・グループでは,子会社の(株)三菱東京UFJ銀行と(公社)日本ユネスコ協会連盟が共同でMUFG・ユネスコ協会東日本大震災復興育英基金を創設。株主は優待品相当額を同基金へ寄付することで,震災遺児を支援できる。

ユニプレス(株)は,被災地に現地の木材を使用した仮設住宅などを提供する一般社団法人more treesへの寄付を選べる制度を導入。ロート製薬(株)でも,盲導犬育成や震災遺児の進学費用を支援する基金への寄付が可能となった。

また,明治ホールディングス(株)では,被災地や社会福祉団体に自社製品の菓子や飲料を寄贈するシステムを設けている。


プレストン効果

アメリカの人口学者サムエル・プレストンが唱えた説で,社会の高齢化に伴い政界や産業界の関心が多数派の高齢者に向かうため,若年層が不利益を被る傾向を指す。

国立社会保障・人口問題研究所の試算によると,日本の有権者数に占める65歳以上の割合は,2009年に28%だったものが2050年には46%にまで上昇するという。一方で,35歳未満は11%から7%に低下する見込みである。

このため国や地方自治体の予算配分も高齢者層に偏ることが予想され,少数派の若年層には不利となる。

アメリカでは昨年半ばから若者によるデモが急増しているが,これをプレストン効果の一面と位置付ける学者もいる。


地域交流サイト

地方自治体が運営する交流サイト(SNS)。災害発生時には自治体のホームページにアクセスが集中し,つながりにくくなるため,ホームページの補完用として設けられたものであり,防災情報などが随時アップロードされる。

地域密着性が強く,サイトの情報を読んだ人が周囲に伝える口コミ効果も期待できるため,各自治体では防災情報の発信に役立てようとしている。平成18年頃から増え始め,現在は全国に400ほど存在する。

兵庫県では地域SNS「ひょこむ」で街の安全情報などを流し,自治体の防災対策も掲載。災害時には,避難情報などを提供する場として活用していく方針だという。