月刊警察 2012年 10月号 MONTHLY KEYWORDS
月刊警察

討論型世論調査

国民から無作為に選ばれた参加者が,討論のための資料や専門家による十分な情報提供を得て,定められた議題について数回にわたり討論し,その経緯における意見や選好の変化を調べる社会実験のこと。

国民が公共政策などに対し十分な情報がなく,意見を決めかねるといった事態を解消し,より民意を反映させる狙いがある。1994年にイギリスで始まって以来,アメリカ,イタリアなど約15地域で40回以上行われている。

今年8月には,日本で初めて,エネルギー・環境の選択肢に関する討論型世論調査が政府により実施された。公表によると,2030年時点の原子力発電への依存度でゼロを支持する参加者は,討論を通じて33%から47%へ増加。一方,一定の原発比率が必要とみる人の割合は,若干減少して約30%となった。


国際成人力検査

成人がもっている,日常生活や職場で必要な技能を測定する検査。欧米諸国や日本など26か国が参加する国際比較調査で,経済協力開発機構(OECD)が実施する。

日本国内では2011年8月から今年1月まで,無作為に選ばれた16歳から65歳の男女5,000人を対象として,「読解力」,「数的思考力」,「ITを活用した問題解決能力」及び調査対象者の学歴や職歴などについて調査が行われた。

結果は2013年に国際報告書として出版される予定で,各国で成人の能力と教育・職業訓練との関係などを分析し,生涯教育や学校教育に関する施策の立案に活用されることが期待されている。


胆管がん

肝臓でつくられた胆汁を十二指腸へ通す道にできる悪性腫瘍。初発症状では皮膚や眼球の白目の部分に黄疸が出ることが多く,腹部痛や発熱,食欲不振,全身の倦怠感などもある。

今年に入り大阪市の印刷会社で胆管がんが多発していることが問題に。印刷機のインクを落とす洗浄剤に含まれるジクロロメタンなどの化学物質が,胆管がん発症に関連するのではという疑いがもたれている。

日本印刷産業連合会が今年5月,全国の印刷関連企業に実施したアンケートによれば,これらの化学物質を含む洗浄剤を用いる際,排気装置の設置や作業環境の測定を行っていた事業所は,全体の3割以下だったとされる。

こうした事態を受けて厚生労働省は,各団体に換気を十分に行うなどの対策を求める通知を出し,職業性胆管がんの相談窓口を設置した。