月刊警察 2012年 11月号 MONTHLY KEYWORDS
月刊警察

空中権

土地の所有権や賃借権,地上権などは,地表を含め,その上下の土地全てに適用されるが,地上権の中には土地の上方のみを使用する権利があり,これを俗称で空中権という。建築物の容積率を上限まで使用しない場合,未利用分は隣接地などに譲渡できる。

空中権取引は,都市部の限られた空間を有効活用する手段として約100年前にアメリカで考案された。 日本では歴史的建造物など低いまま保存すべき建造物があり,周辺で,より高層のビル建設の必要がある場合は,隣接していなくても容積率を取引できる特例制度が2000年に成立。東京駅周辺の約120haが「特例容積率適用区域」に指定された。

このほど復元された東京駅丸の内駅舎においては,総工費約500億円を捻出するため空中権取引が行われ,容積率の余剰分は「新丸の内ビル」,「東京ビル」,「ツインタワー」などの建築に利用されている。


シェール

堆積岩の一種で,地中の頁岩(シェール)層にはガスや原油などの地下資源が多く含まれている。70年代以降,米国ではシェールガスの商業生産が発展,大量の水圧でシェールに割れ目をつくり,そこから発生するガスを取り出す技術が向上した。近年はシェール層を水平に掘削し水圧でシェールを破砕する採掘法が開発され,生産量が急増。また,シェールから取り出した石灰石を酸で溶かすなどしてオイルを採取する開発も進んでいる。

日本では今年10月,石油資源開発(株)が秋田県由利本荘市の鮎川油ガス田で,地下約1,800mの岩石からシェールオイルを採取することに国内で初めて成功した。現在,国内でシェールが発見されているのは秋田県のみで,鮎川油ガス田のシェールオイル埋蔵量は約500万バレルと推定されている。ただし,これは国内石油消費量の1.5日分にすぎないため,今後の開発が期待される。


国際司法裁判所

領土問題など,国家同士のもめごとを解決するため,国際連合が1945年に設置した裁判所。略称ICJ。本部はオランダのハーグにあり,国連総会と安全保障理事会によって選出された出身国の異なる9年任期の裁判官15人で構成される。

国際法における権威であり,その法律的意見は,国際法に多大な影響を与える。領土紛争解決の実績もあるが,裁判には関係国の同意が必要。竹島の領有権問題に関し,野田佳彦首相がICJでの解決を呼びかけた際,韓国は応じない姿勢を見せた。