月刊警察 2015年 5月号 MONTHLY KEYWORDS
月刊警察

管理者能力

1950年代に活躍したアメリカの経営学者ロバート・カッツは,「管理者とは,他の人々の活動を束ね,目標達成の責任を負う存在である」と定義し,管理者に求められる能力を,次の三つに区分した。

まず,「テクニカルスキル」は「作業遂行能力」と訳され,業務を行う上で必要な知識・技能等を指し,特に,現場監督者等に求められる。次に,「ヒューマンスキル」は対人関係を築く能力で,顧客や部下との円滑なコミュニケーションを通じ,伝達や指示を実行する能力。これは,管理職に必要とされる。最後に,「コンセプチュアルスキル」は「概念化能力」とも呼ばれ,組織構造や事業状況を全体的に見据えて将来像を描く能力で,経営者に求められる。

カッツは,職位に応じ必要な能力は変化すると述べたが,現代の日本では,総じてヒューマンスキルが重視される傾向にある。また,職位にかかわらず,これらを継続的に習得することが望ましいとされている。

ニューノーマル

「新たな常態・常識」の意味で,リーマンショック後の世界経済における新たな社会の在り方や価値観等を示す言葉。2009年,アメリカの資産運用会社ピムコの最高経営責任者だったモハメド・エラリアンが,「世界経済はリーマンショックから立ち直ったとしても以前の状態に復旧することはなく,構造的な変化を伴った新秩序へと向かう」と診断,これをニューノーマルと呼んだのが最初とされる。

中国政府は今年,政府の方針を示すキーワードとして,ニューノーマルの訳語である「新常態」を使用。昨年は経済成長率7.5%を目標にしていたが,これまでのような高い成長軌道は見込めず,今後は5〜7%が新常態になるといわれている。

宇宙太陽光発電

宇宙空間に太陽光発電システムを配備し,そこで生産された電力を地上に送信して利用する構想。太陽光をマイクロ波等のエネルギーに変換した上で地上に送出し,受信したものを電力へと再変換する仕組みが考えられている。

太陽光を大気圏外で得ることができれば,地上に設置された設備の場合と比較して,数倍から十数倍のエネルギーを得られるとされ,大気や天候の影響も受けず,常に発電を続けるシステムが可能となる。

日本では,1980年代から研究が開始されており,今年3月には,三菱重工業鰍ェ同システムの中核技術とされる長距離無線送電の地上実証試験に成功した。ただし,技術的な課題はまだ多く,実用化は2030年以降と予測されている。