月刊警察 2015年 9月号 MONTHLY KEYWORDS
月刊警察

国外転出時課税制度

1億円以上の資産を所有している者が国外へ転出する場合,資産の含み益に所得税及び復興特別所得税を課税する制度で,「出国税」ともいう。今年度税制改正の「国外転出をする場合の譲渡所得等の特例」の創設により,今年7月1日から施行された。

例えば,1億円以上の株券所有者が国外へ転出する際には,所得税の確定申告の手続が必要となる。国外に居住する親族等へ贈与する場合も,同様に確定申告が必要だ。

同制度の対象となる資産として,株式や投資信託等の有価証券を始め,匿名組合契約の出資の持分,未決済の信用取引や発行日取引,デリバティブ取引等が挙げられる。

未必的殺意

行為者が,殺人の実現が不確実だが可能であるとの認識しか有していないものの,その実現を認容している場合の殺意。確実に殺そうという意思はないが,死亡させても仕方ないという意思で,「未必の殺意」ともいう。これに対し,確実に殺そうという意思を「確定的殺意」という。殺人に及んだ場合は刑法によって処罰され,前者は後者よりも量刑が軽い。

未必的であったか確定的であったかの判断は,当事者の行為や動機等から認定され,例えば,小型ナイフで相手の脚を数回刺した場合は,未必的殺意として認められる可能性がある。しかし,大型ナイフで心臓周辺を何度も刺した場合や,銃で相手の頭部を狙って撃った場合は,確定的殺意とされることが多い。

過重労働撲滅特別対策班

違法な長時間労働(過重労働)問題への対応に取り組む専任の特別班で,通称「かとく」。昨年,厚生労働省が設置した長時間労働削減推進本部の取組を推進する機関と位置付けられ,今年度から東京労働局と大阪労働局にそれぞれ設置された。東京は7人,大阪は6人で構成され,班員全員が労働基準監督官である。

東京労働局の資料によると,従業員に違法な長時間労働を強いた上で労働時間のデータを改ざんし,隠蔽するケースも少なくないという。

過重労働撲滅特別対策班は,こうしたデータ改ざんに対応する専門の解析技術を備えており,労働時間の記録がないケース等についても,実態の解明により,監督指導を行っていくという。

今年7月初旬には,靴の販売チェーンであるABCマートの一部の店舗が,従業員4人に対し,規定の上限を超える月100時間前後の残業をさせたとして,過重労働撲滅特別対策班が,同店を運営する(株)エービーシー・マートを労働基準法違反の疑いで書類送検した。同班による書類送検は,この事例が初となった。