月刊警察 2016年 7月号 MONTHLY KEYWORDS
月刊警察

水素水

「老化や病気の原因となる有害な活性酸素を効率よく除去する」として近年注目されている水素。2007年以降,水素に関する医学的研究が日本,アメリカ,中国などで進み,臨床実験における有効性も報告されたことから,市場に水素含有商品が多く登場してきた。

中でも水素分子のガスを溶け込ませた水素水は,美容・健康に関心の高い女性の間で人気となっている。水素ガスは空気中で蒸発しやすいため,水中濃度を保つ専用サーバーや密閉容器を販売するメーカーも。医薬品でないため商品に具体的効能の表記はないが,話題性に乗じて好調な売上げが続いている。

しかし,国民生活センターが今年3月,水を電気分解して水素を発生させる2製品で実験したところ飲用による人体への効果は得られなかったと発表。これを受け消費者庁は,一部の販売会社に対し,行き過ぎた宣伝や勧誘があるとして特定商取引法違反で一部業務停止命令を出した。

水素水の効能の有無に関しては賛否両論で,今もコンセンサスは得られていないのが実情。「ヨガで勧められ体に良さそうなので,とりあえず飲んでいる」(30代女性)という声がブームを代弁していると言えそうだ。

地下アイドル

今年5月,東京都小金井市でアイドル活動をしていた女子大生,冨田真由さん(20)が刃物で刺され重体となる事件が起きた。冨田さんのようにテレビなどのメディアにはほとんど登場せず,イベントやライブ会場などを活動拠点とする女性やグループを通称“地下アイドル”と呼ぶ。

主に,限定された活動範囲で歌や踊りを披露するため固定客がつきやすく,人気のある地下アイドルのライブには「ヲタク」と呼ばれるマニアックなファンが集まる。会場では握手会やインスタントカメラによるファンとの有料撮影も行われる。

大阪市内で地下アイドルグループを運営する事務所の代表者は,「地下アイドルの魅力は会いに行けること。冨田さんのような事態を避けるため,ファンとの交流は全て運営側を通すルールを設けている。でも,大半のファンは礼儀正しく理解ある方々」とも。

地下アイドルの収入源はライブ入場料,CDやグッズの売上げに限られ,収益はレッスン料や衣装代,交通費などの諸経費に消えるため,当人の手元にはほぼ回ってこないという。活動にはツイッターなどSNSとの連動が不可欠で,「アカウントのフォロワー数が1万人を超えると,メジャーデビューも夢ではない」(前出の代表者)のだそうだ。