月刊警察 2016年 10月号 MONTHLY KEYWORDS
月刊警察

両家墓

二つの家系を一つに祀った墓。従来,墓は血縁によって引き継がれ,明治以降は家長である男性を優先とした一族墓が大半だったが,近年の少子化に伴い継承者が減少したことで,墓の形態にも変化が生じている。

例えば,子供が一人娘で他家へ嫁いだ後,実家の墓を守る者がいなくなるケースや,在住地と墓所が遠いために墓参や供養などが負担となり足が遠のく事例が増加。子孫がおらず無縁墓となる事態を避けるため,解決策として両家墓が注目されるようになってきた。

形態には,墓石一基に二つの家名や家紋を刻むものと,同じ区画に両家の墓石を並べるものとがある。最近は前者の形態が人気で,いずれも,既存の複数の墓を一つにまとめる場合は改葬手続が必要。墓石の中心に好きな言葉などを入れ,下部の左右に両家の名前,花立てにそれぞれの家紋を彫刻する形が多く見られる。

雨柱

局地的な集中豪雨など降雨範囲が非常に狭く,かつ,激しい雨を遠方から眺めた際,雨雲の下が柱状に見える気象現象の通称。

この8月,都心部ではゲリラ豪雨が頻繁に発生し,東京の降水量は昨年の約4倍に当たる414mm(月合計値)を記録した。そのため巨大な雨柱が各地で度々目撃され,雨柱の投稿写真がSNSなどを賑わすことも多かった。

テロ保険

損害保険のうち,テロに巻き込まれた際に発生する損失を補償する保険の総称。具体的には治療費用,傷害死亡・後遺障害,賠償責任,救援者費用,航空機遅延費用などがこれに当たる。個人向け海外旅行保険の多くは戦争,外国の武力行使,革命,内乱などを免責としているが,テロは条項に含まれておらず規定上は保険金の支払対象となっている。

一方,2001年の米国同時多発テロ以降,企業を対象とした保険では資産価値(保険金額)が10億〜15億円以上になると支払対象から外す「テロ免責」が定着したため,米国ではテロに特化した「テロ保険」への加入率が6割を超えるといわれる。

近年の世界的なテロの増加を受け,損害保険ジャパン日本興亜では,今年4月から,国内初となる企業向けのテロ保険の取扱いを開始。中東・アフリカでのリスクも引き受けるなど地理上の制約は設けず,保険金は50億円まで設定できる。テロリストに狙われやすいホテルや商業施設,石油プラント,発電所などを想定し,休業を余儀なくされた期間の利益補填なども補償に含まれるという。