月刊警察 2017年 1月号 MONTHLY KEYWORDS
月刊警察

オプジーボ

新しいタイプのがん治療薬として期待されている薬剤の商品名。難治性がんに数えられる悪性黒色腫(メラノーマ)の治療薬として,小野薬品工業と米ブリストル・マイヤーズスクイブが共同開発。国内では肺がんへの適応拡大が承認された。一般名はニボルマブ。

がん細胞には体内の免疫に攻撃されないよう免疫機能を抑制する特殊な能力があるが,オプジーボはこの抑制能力を解除し免疫細胞を覚醒させることで,がん細胞を攻撃する。

一般的な抗がん剤は,がん細胞の増殖を抑える仕組みのため,数年で耐性ができ効果が薄れるケースも少なくない。これに対し,オプジーボは人体本来の免疫機能を利用するため,従来治療不可能とされていたがんにも使用でき,根治の可能性も見込めるという。

副作用は比較的少ないといわれているが,免疫機能の変化から発症する甲状腺や下垂体異常,肝・腎機能障害,大腸炎,肺障害などの確認例があり,慎重な使用が望まれる。

また,薬価の高さが群を抜いており,1回の点滴投与費用は約130万円。1年間治療を継続した場合,3,000万円以上かかるという試算もある。そのため厚生労働省は2016年11月,市場拡大再算定の仕組みを適用し,オプジーボの薬価引下げを促す方針を公表した。

トランプ鬼ごっこ

アメリカ合衆国大統領選挙でドナルド・トランプ氏が第45代アメリカ大統領に選ばれたことを受け,全米の学校で流行している鬼ごっこのような遊び。“Trump is coming!(トランプが来たぞ)”という掛け声が上がると,その場にいる全員が蜘蛛の子を散らすように一斉に逃げる。

インターネットの動画投稿サイトやSNS上には,授業中にもかかわらず,一声で生徒全員が床に倒れて死んだふりをしたり,奇声を上げながら出口に殺到したりする様子の動画が続々と投稿されている。

この遊びを考案したのはヒスパニック系の高校生といわれ,トランプ氏の「メキシコとの国境に壁を設け,不法移民を国外追放する」といった過激な方針から逃れるため,揶揄と警戒を込めて始めたという。

ディズニー映画「トイ・ストーリー」で,部屋で自由に遊んでいるおもちゃのキャラクターたちが,持ち主の少年アンディが入って来るとフリーズする場面があり,その際の「アンディが来たぞ!」という掛け声を真似た。

流行が拡大するにつれ,子供や学生たちはトランプ氏の支持・不支持とは関係なく,この遊びに興じるようになっている。