月刊警察 2017年 5月号 MONTHLY KEYWORDS
月刊警察

入学前予約型給付奨学金

大学入学前に申請し給付の可否が決定する奨学金制度。入学後に奨学金の給付が受けられず困窮する事態を避けられるため,金銭的に厳しい場合も大学入学を志願しやすくなる。

青山学院大学が今年度実施する入学前予約型給付奨学金「地の塩,世の光奨学金」では,約350人に年額50万円を4年間継続して給付する。対象者は島しょ部を除く東京都,神奈川県,埼玉県,千葉県以外に保護者が居住し,入学時に自宅外から通学する学生。入学試験の出願前又は出願期間に申し込むことができ,合格発表前に入学後の奨学金交付を約束される。

また,早稲田大学の「めざせ!都の西北奨学金」は,約1,200人の奨学生に4年間継続して半期分の授業料相当額を免除。慶應義塾大学の「学問のすゝめ奨学金」では,500人に年額60万円(医学部は年額90万円,薬学部薬学科は年額80万円)を給付。地域ブロックごとに給付人数を設定し,偏りをなくす取組も行っている。

そのほか,学習院大学や立教大学なども,今年度から入学前予約型給付奨学金を新設・拡充した。

奨学金の申請には出身地域や両親の所得,一定以上の成績などを条件としているところが多い。

量的緩和

量的緩和とは,中央銀行の金融緩和の一つで,市場の資金供給量を直接的に増やし,景気拡大や金融市場の安定を図る政策。中央銀行は通常,政策金利を引き下げることで資金需要を促すが,低金利政策の実施などで政策金利の引下げ余地が限られる場合,債券の買入れなどで市場に出回る資金量を増やす。

資金が増えると市中金利が低下し,設備投資や個人消費の活性化が期待できる。また,資金の一部が金融市場に流入して株式などの資産価値を押し上げ,個人金融資産の増加にもつながるとされる。

日本における量的緩和は,金融緩和政策の操作目標を「短期金利」でなく,日銀が金融機関などから受け入れている当座預金残高などの「量」(マネタリーベース)に置いた金融政策。バブル経済破綻後に金融システムの安定化とデフレ防止のため,2001年3月から2006年3月まで量的緩和策を導入。その後2013年4月に再び採用され,昨年9月には物価上昇率の実績値が安定的に2%を超えるまで継続すると決定された。

米国では,米金融危機による景気低迷への対応策として,米国債や住宅ローン担保証券などを買い入れ,金融市場への資金供給量を増加する手法を採用。これまでに3回の大規模な量的緩和が実施されている。