月刊警察 2017年 9月号 MONTHLY KEYWORDS
月刊警察

送迎保育ステーション

駅などに設けられた,保育園児の送迎拠点となる施設。保護者が送迎保育ステーションまで子供を送り届け,集まった子供たちは専用バスでそれぞれの保育所へ送迎される。1日の保育時間終了後は,再びバスで送迎保育ステーションに戻り,保護者が迎えに来るまで遊びながら待つことができる。

街中や住宅地にある保育所には希望者が殺到し,入園できない待機児童が増えていることから,入園枠に比較的余裕のある郊外の保育所を活用する目的で,首都圏の自治体が運営を開始した。

東京都町田市では,小田急電鉄町田駅付近に送迎保育ステーションを整備。1〜5歳児を対象に,利用料金月額2,000円とし,駅から30分以内の距離にある複数の保育所へ送迎を行う。

また,今年4月には,東京都世田谷区が小田急電鉄成城学園前駅からの送迎を始めた。現在,東京都江東区,千葉県流山市,神奈川県横浜市など全国で約20か所の送迎保育ステーションが機能している。

日比国際児

日本人男性とフィリピン人女性との間に生まれた子供。ジャパニーズ・フィリピーノ・チルドレン(JFC)ともいう。東京で日比国際児の支援活動を行う特定非営利活動法人JFCネットワークによると,現在マニラには約1万人の日比国際児がおり,フィリピン全土では数万人にも上るという。

1980〜2000年代前半まで,多くのフィリピン人女性が出稼ぎのため興行ビザで来日し,ホステスとして働いていた。そこで出会った男性客との間に子供ができても,父親から養育放棄されたり認知が受けられないことが多く,やむなく帰国し母子家庭となるケースが非常に多かった。

こうした場合,日比国際児が日本国籍を取得することは難しく,母親の再来日さえままならない。父親からの連絡が途絶え,母子がフィリピン国内に取り残されて生活が困窮,子供本人もアイデンティティの欠如や自己否定などの精神的な痛手を抱え,大きな問題となっている。

日比国際児の中には,自分の出自を知るため父親に会いたいと願う子供も多い。マニラで女性の自立を支援する非政府組織(NGO)ドーンは,こうした子供たちの心の葛藤を演劇で表現してもらおうと,「劇団あけぼの」を設立し,毎年,日本公演を行っている。今年は5人が来日して各地で公演,父親との面会を果たした子供もいた。