月刊警察 2018年 5月号 MONTHLY KEYWORDS
月刊警察

奨学金破産

国や地方自治体などから学費を借りる奨学金制度を利用している大学生は,現在,2人に1人といわれる。しかし,返済がままならず自己破産するケースが増え,新たな社会問題になりつつあるようだ。

朝日新聞デジタルは,今年2月,奨学金に絡む自己破産が2016年度までの5年間で,延べ1万5,338人に達したと報じた。このうち8,108人が本人,7,230人が連帯保証人及び保証人の破産という。国内の自己破産件数が減るなか,奨学金関連は年間およそ3,000人で,16年度は5年前の13%増となる最多の3,451人。

労働者福祉中央協議会の花井圭子事務局長は「大学の授業料が高騰する一方,世帯年収は低下傾向にあり,親からの仕送り額も減少。奨学金がなければ進学も卒業も困難な状況にある。さらに,卒業後およそ4割が正社員以外の就労形態で働いているというデータもあり,十分な収入が得られず奨学金を返す余裕がない」と現状を指摘。

日本の奨学金は大半が貸与型で,返済不要の給付型はわずかである。このため政府は,一定の成績などを収めた低所得世帯の学生に対し,1人当たり月額3万円前後で給付型奨学金の支給を2018年度から本格的に開始する。

住宅宿泊事業法

昨年6月に成立,今年6月に施行される,民泊事業のルール是正と健全なサービスを促す目的で制定された法律。民泊とは,住宅を利用して宿泊サービスを提供する事業,又はその施設をいう。

従来,日本の法制度の下では,宿泊料を対価に徴収する宿泊サービスを継続的に提供する場合は,旅館業法に基づき簡易宿所営業の許可を得る必要がある。しかし,近年,インターネットを介して空き部屋を旅行者にマッチングするサービスが世界的に普及し,民泊の需要が急増。観光客向けビジネスとして期待できることもあり,無許可でサービスを提供する“ヤミ民泊”が増加した。

ヤミ民泊では施設やサービスの質が保証されず,衛生環境や近隣とのトラブルなども懸念される。また,届出がなければ行政側が把握できないリスクも。今年2月には,大阪市のヤミ民泊施設で,女性の切断遺体が発見される事件が発生した。

住宅宿泊事業法施行後は,旅館業法に基づき許可を得る方法のほかに,住宅宿泊事業法に届け出る,また「特区民泊」の認定を得る,などの方法が加わる。前者は年間提供日数の制限や近隣とのトラブル防止措置を講じる必要があるが,官庁からの許可・認可は不要で,届け出るだけで合法的な営業が可能となる。