月刊警察 2018年 6月号 MONTHLY KEYWORDS
月刊警察

8050問題

引きこもりは,一般的に若者の問題として捉えられているが,社会的問題として認知された1980〜90年代から,およそ30年たった現在,当時の引きこもり世代が社会に出る機会を逃したまま50代を迎え,その親は70〜80代と高齢化しているため,新たな社会問題になりつつある。

「65歳以上の高齢者がいる世帯」の構成割合を1975年と2016年とで比較すると,両親と未婚の子が同居する世帯は6.7%から12.7%,親一人と未婚の子が同居する世帯は2.9%から8.0%にまで増加。また,首都圏・関西圏に住む年収200万円未満の未婚者は,8割近くが親と同居しているというデータも。

引きこもりの子は,年齢が上がっても生活能力や一般知識に欠け,親が病気や要介護,認知症となってもサポートできないケースが多い。親が死亡した場合,共倒れの孤独死になることもあり得るため,自治体などが対策を迫られている。

台湾旅行法

アメリカ合衆国と台湾の官僚の交流・相互訪問を促進するための法律。今年3月にドナルド・トランプ大統領が署名し,正式に成立した。同法では台湾を「アジアにおける民主主義の指針となるもの」と位置付け,アメリカの政府職員に対し,職員のレベルを問わず,台湾への渡航及び台湾当局職員との接触を奨励している。

これまで米台は国交がなく,当局者の相互訪問は,中国への配慮から目立たない形で行われていた。同法の成立によって積極的な交流が可能となり,米台の関係強化が促されるとみられている。

同法に対し,台湾外交部は歓迎と感謝の意向を表明しているが,中国側は「一つの中国」の原則を主張し,強い反発を見せた。

資本系

大手企業の資本で設立された店舗やブランドなどの総称で,様々な分野に存在するが,最近では専らラーメン店の区分として使われることが多い。本来は経験や専門の研究が必要とされるべき業種にも,近年の技術革新によって「資本系」が続々と参入している。

資本系ラーメンの急増について,フードジャーナリストの山路力也さんは,「スープや麺などをパッケージで提供できるようになり,骨からスープを取る職人の技術がなくても専門店の味を再現できるようになったためでは」と推測。

一方,「資本系」に対比される呼称には「独立系」,「家系」があり,主に元祖となる店舗で修行した後,のれん分けなどによってできた店舗を指している。